第737話 金沢城と兼六園と小便萌美少女像

 案内された金沢城は意外にも、質実剛健の城。


せっかくなので、観光がてら案内してもらう。


平成時代に残る、金沢城の特徴的な三十三間長屋があり、櫓や門に見られる、白漆喰の壁にせん瓦を施した海鼠

なまこ

壁と屋根に白い鉛瓦が葺かれた外観、櫓一重目や塀に付けられた唐破風や入母屋破風の出窓がある。


大きな違いと言えば銃火機を効率的に使う為の三角堡が大手門の前に設けられているのと複数の大砲台があるのと、金沢城の弱点である裏山も城塞化されていた。


そして、平成時代には消えていた天守閣も史実とは事なり、五重六階建ての望楼型天守閣がある。


もちろん、避雷針である授雷神槍が天守閣のてっぺんにある。


これはあきらかに、巨大な領地を持ち潤っている証拠だ。


さらに、五代藩主が造るはずの大名庭園の兼六園まで造られていた。


これは、俺が水戸城に付随して山内一豊に造らせた偕楽園を見習い作ったそうだ。


池には山の高低差を利用して作られる噴水もちゃんと作られていた。


兼六園で有名な二本足の灯籠もある。


松などの木々の雪吊りもあり、もうすぐ外すと言う。


まさに、平成でも残したい風景になっている。


公園には美少女の石像などはない。


「日本の古き良き文化の庭、なかなか良いですね」


と、茶々が誉めるも利常は


「何でも、異国には小便小僧なる幸せをもたらす噴水が仕込んである石像があると聞きます。ならば、それを萌美少女で作ろうかとしたら、父上様にどやされました」


と、頭をかきながら笑った。


ナイス前田利家!小便美萌少女像は流石に倫理的に問題過ぎる。


ってか、美少女が立ちション?足を伝わって滴る?


勢い良く出せるのか?


そういえば、俺の大好きな変態ヒロインばかりのライトノベルではヒロインが窓からおしっこしていたような・・・・・・?出来なくはないのか?などと、腕を組んでじっくり思案していると、茶々の痛い視線が全身に刺さるのがわかる。

剣山のように無数の針山がジクジクと刺さる。


「茶々、作らないから安心してくれ」


「本当にですか?今、作れないか考えていましたよね?」


「うっ、断じて違うぞ!水の神は何だったかな?と、考えていただけだ」


「まあ、信じましょう。小便美少女像など品がなさすぎますからね」


と、言うと利常も縮こまっていた。


小便少女像ってのは、20世紀の芸術家が作った物があったが、あれは萌美少女ではない。キユーピーちゃんが座り小便をしているかのような物。

しかし、俺が発展させた萌美少女は平成時代人気のアニメ・ラノベ・マンガヒロインを具現化したもの。


冴えない彼女の立ち小便像・・・・・・

爆裂魔法魔女っ子の小便像・・・・・・


猥褻物陳列罪でアウトだな。


なら、舞浜に生息するメスネズミはどうか?


敵が間違いなく増えるな。


そんな危険な妄想をしながら、金沢城に入ると二の丸に作られた御成御殿に通された。


御成門は、外とは裏腹に絢爛豪華な美少女萌の蒔絵が施されている。


以前送った絵を参考にしたと言う美少女達は、複数の作品がごちゃ混ぜとなっており、美保の松原をバックに戯れる天女が描かれていた。


御成御殿は欄間は全て美少女萌彫りだが、襖などは花鳥風月でけして品がない作りではなかった。


茶々も納得の作り、そこで越前蟹のフルコースでもてなされ、翌日、利常と共に賤ヶ岳城を目指した。

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