第728話 缶詰め検食その1

 一通りの挨拶が終わると、宴席になりもてなされた。


蟹三昧と言って良い。


毛ガニにタラバガニ。


焼き蟹、茹で蟹、蒸し蟹、蟹鍋、蟹の天ぷら、蟹のフライ、蟹飯。


肉料理はトドやアシカが味噌仕立ての鍋で体を温めた。


毛ガニの甲羅に日本酒を入れてミソを溶かして飲む。


茶々も同じように飲み、顔を少し赤らめていた。


「まぁ~美味しい。何度か蟹の缶詰めを送っていただきましたが、やはり採り立ては違いますね」


と、舌鼓を打ち喜んでいる。


缶詰めは研究を重ね、蟹でも身が変色せず半年は持つ物を作っている。


今では樺太の一大産業。


蟹の缶詰めを本州に送る代わりに穀物を手に入れている。


そのため、食には困らない。


「父上様に今までの研究を見ていただくのに缶詰めも用意したのですがお腹いっぱいですか?」


「おっ、せっかくだから検食しようじゃないか、持ってきてくれ」


「はっ、すぐに」


と、言うと様々な絵柄のパッケージ、紙が貼られた缶詰めが用意された。


そのパッケージは、食材と必ず美少女が描かれている。


萌は最早、浸透した文化であるのがよくわかる。


最初に開けられたのは、トウモロコシだった。


樺太農政改革で夏に収穫出来る。


「ん、美味いな。これはラーメンに入れたい。うちの学校運営食堂にも売ってくれ」


「はい、父上様」


と、次はトマト。


やはりこれも農政改革で夏に収穫出来る。


酸味が強くコクは薄いものの、食べられないほどではない。


「トマトは健康に良い。生産を続け広めてくれ」


「父上様が北海道と名付けた地でも生産するように手配いたします」


その後、アスパラガスや豆や根菜類の缶詰めを検食した。


すると、次は魚の缶詰めとなった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る