第727話 樺太北条家・孫・須久那丸
樺太城に入っても、トゥルックと守琴の姿はなく、心配で聞いてみるとポキビ城で暮らしていると言う。
ポキビ城は大陸に近く、冬場は流氷で陸続きになることも有り、冬場は特に警備を強化しているそうだ。
後から視察をしよう。
樺太城に入り旅の疲れを湯で流したあと、大広間で正式な挨拶を受ける。
北条家重臣一同が揃って。
「父上様、我が嫁と息子です」
と、氏琴が紹介する二人。
嫁は森力丸の娘の紗奈、その間にもうけた子は須久那丸と名付けたとの事。
氏琴本人の幼名。
「そうか、須久那丸か何歳だ?」
「はい、四歳になります。お祖父様」
と、ハキハキと大きな声で答えた。
「あっ、俺、爺さんなんだね」
なんか改めて聞くとむず痒くて変な気分だ。
目に入れても痛くないと言われる孫だが、そんな感覚はまだ湧いて来ない。
「ん~北条家の顔立ちかな?」
と、鶴美に言うと
「そうなんですよ。私の父上様に似ている気がします」
と、言う。
「良い事ではないか、北条家を継いでいくのだから」
「北条家継げますかね?」
と、鶴美が少し悲観的に言ったので、
「北の大地の守り人として職務を全うし続けるなら黒坂家は後ろ盾になる」
「皆の者聞きましたか?小田原に帰る夢などは捨て、この地を故郷とし骨を埋める覚悟を保ちなさい。さすれば、この黒坂常陸守様が後ろ盾となり北条家を守って下さる」
と、鶴美は家臣達に号令した。
すると、家臣達は改まって頭を下げて
「北条家をよろしくお願いいたします」
と、返事をした。
それはいまだに小田原に帰る夢を持っている派閥への牽制だった。
北条家の古くからの家臣と俺が送り込んだ山内康豊の派閥で対立があったそうだ。
「小田原の地に出入りを禁じる事はしない。墓参り、観光、里帰り大いに結構な事。しかしながら、住む土地はこの樺太、励み発展をさせ守りを強固とせよ」
と、俺は北条家一同に向かって言った。
山内康豊を『うん、うん』と頷いていた。
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