第722話 AMATERASU
茨城城でのんびりとしているわけには行かず、やることをやらねばならない。
鹿島神宮・香取神宮・息栖神社の東国三社詣でを済ませると、学校と食堂の様子をお忍びで確認した。
そして、鹿島港の厳重に警備がされている一角に急いだ。
その中には、磯原佳代が乗ってきた一台のタイムマシーン。
銀色のボディー、お椀を二つ合体させたかのような形。
ハッチらしき切れ込みの脇には指紋認証装置が付いており流石に開けることは出来なかった。
中は、後々磯原佳代と来たときに見せて貰おう。
機体を見回していると、名前が彫ってあった。
AMATERASUと。
タイムマシーンの名はAMATERASUであった。
「なるほどな、時代と言う扉を開けるその先は?か」
と、一人納得していると、
「真琴様、未来ではこのような物が一般的なのですか?」
と、茶々が聞いてきた。
「いや、俺の知っている時間線では無理だと言われていたけど、それを佳代ちゃんは研究して成し遂げたんだよ。俺は物理系は苦手なほうだったから説明すら出来ないけど、未来でも簡単な技術ではなかったはずだよ」
「そうですか。でも良かった。これで真琴様を連れ帰ると言っていたら殺すところでした」
と、茶々は真剣な表情を見せた。
「うん、俺自身、もし帰る手立てが見つかったとしても帰るつもりはないよ。俺が生きるべきなのはこの時代なのだから。それに俺はこの世界で家族を持ったのだから最後はその家族に囲まれて死にたいな。ひ孫、玄孫に囲まれて死ぬって何気に夢なんだよ」
「ほほほほほっ、良い夢ですね。長生きしないとなりませんね」
「そうだよ。いっぱいやりたいこともあるしね」
「そのお手伝いを今度は近くでしとうございます」
「うん、よろしく頼むよ」
と、答えると茶々は満足そうにニヤリと微笑んだ。
「さて、取り敢えず一度樺太に行きたい」
「はい、そう言うと思って戦艦の準備は整えてあります。日立の港で停泊しています」
「え?潜水艦で行こうと思っていたのだけど」
「えぇ、佳代殿設計の巨大戦艦が完成しましたからそちらをお使い下さい」
と、言う。
ん?佳代ちゃん設計・・・・・・?大丈夫なのか?
と、少々の不安と期待を持ちながら日立の港に向かって潜水艦を出港させた。
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