第715話 側室の説得

「ちょっとだけ、常陸国に帰ってくるから、ミライア、アセナ、オルショリャ、佳代ちゃんは欧州イバラキ島で待っていて」


「長い船旅は出来ないから仕方ないですわね」


と、オルショリャ。


「お兄ちゃん帰ってくるよね?」


と、アセナ。


「・・・・・・常陸様と離ればなれ・・・・・・」


と、ミライア。


「ちゃんと帰ってくるから」


「私は嫌、せっかく会えたのに」


と、磯原佳代。


「一番大事にしないとならない佳代ちゃんがそんなこと言ってはだめだよ。ちゃんと帰ってくるから。そのくらいの航海出来るよう造ったんでしょ?潜水艦」


「うっ・・・・・・それを言われると。常陸の造船所で出来る最高の物を造りましたから一度や二度の遠洋航海などなんの問題もない潜水艦です。ですが・・・・・・」


「佳代殿、真琴様を困らせてはなりません。私も残りますから。真琴様、帰ってこなかったらどこまででも追いかけて蹴り飛ばしに行きますからね」


と、お初。


「うん、お初気を遣ってくれてありがとう」


「約束守らなかったら承知しないんだから」


「小滝もすまないが残って、佳代ちゃんの出産の為の生徒育成を頼む」


「はい、最高の医師集団を作って見せます。先ずは経験としてバードリ・エルジェーベト様の所に手伝いに行きたいのですがよろしいでしょうか?」


「わかった。宗矩に船を出させるように手配しよう」


「ありがとうございます」


バードリ・エルジェーベトにはうちの学校から医療を学んだ者を五人送ったが、それだけではなく磯原佳代と小滝が教え込んでいる者も高齢出産の経験を積ませるために手伝いとして送ることとした。バードリ・エルジェーベトの方が早く生まれる予定。


「皆、体を大切にしてくれ。出産までには戻ってくるつもりだ」


「はい、お待ちしております」


「お兄ちゃんがいなくてもお兄ちゃんの子ちゃんと産んで見せるんだから」


うん、やはりアセナの言葉を字面にすると問題が大きいな。


「・・・・・・ちゃんと産んでみせます・・・・・・」


「一人目産んだら二人目産むために真琴様に入れて貰うんだから」


と、オルショリャはいつも通りだった。


「では、行ってくる」


俺は潜水艦、月夜に乗り込み、お江、桜子、ラララを乗せ

健御名方・艦長・猿飛佐助

蛭子命 ・艦長・霧隠才蔵

木花咲取・艦長・東住麻帆

金毘羅 ・艦長・東住美帆


の潜水艦艦隊で一路、茨城に向けて出港した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る