第713話 信長と潜水艦

 欧州イバラキ島に滞在している織田信長は潜水艦を目にすると興味を示したので、一緒に乗船する。


「海の中を進むのか」


「はい、海の中をひたすら進む船、それが潜水艦です。未来ではこの潜水艦に町を消し去る兵器を載せて世界中の海に展開している国もありました」


「なんのためだ?」


「未来では大陸から大陸へ海を関係なく攻撃するミサイルと言う物が出来ます」


と、説明すると織田信長は早速電子辞書で調べていた。


「なるほど、このような物か、これで拠点がやられても報復攻撃が出来るようにしておくためにこの潜水艦を活用しているのだな。これではうかつには攻撃は出来ないな」


「はい、抑止力です」


「しかし、この核ミサイルとは恐ろしき物、旧約聖書のソドムとゴモラのような物か?」


「旧約聖書読んでいるんですか?確か、ソドムとゴモラ?あれは隕石だったと言う研究をしている人がいたはずです。隕石も人工的に作って兵器しようとしていましたよ。俺の未来では」


「恐ろしいことを考える物だ」


「地球と言うか、人類が何回も滅亡するだけの兵器を全世界は持っていましたから」


「が、その未来も少しは変えたのだろう?」


「そうなることを願いますが、まだまだ。これからが大変ですよ。宗教の政治影響力を弱め、民族、人種、国、風習、有りと有らゆる物をお互いに尊重し合い、そして助け合うと言う考えを定着させなければならないのですから」


「だな。そうだ、この船を使えば、日本にひっそりと帰れるのではないか?」


「ん?」


「しばらく帰っておるまい。茶々もねぎらってやれ」


「えっ?良いんですか?」


「あぁ、常陸が留守とわかれば不穏の動きをする者が出るやもしれぬが、戦艦・伊弉冉尊がここに停泊しているなら大丈夫であろう」


ん~、前田慶次をイタリア、シチリア島に真田幸村、この欧州イバラキ島に柳生宗矩と俺の息子の桃信を残し、そして、織田信長がヨーロッパにいるなら大丈夫か?


「信長様は帰らなくて良いんですか?」


「儂か?儂は良い。こっちで好き勝手にしている方が良い。日本は信忠に任せる」


「そう言うなら、一時帰りますね。この船なら往復で半年なので、側室達の出産にも間に合いますから」


「またも子を作ったのか?元気があるの~」


と、感心されてしまった。


「信長様は枯れました?」


バシッ


「痛い」


鉄扇で頭を軽く小突かれてはまった。


「馬鹿を申せ。まだまだ現役だ」


「そりゃ~なによりで・・・・・・あははははははっ」


「ぬははははははははははははっ」


潜水艦の中は二人の笑い声で響いた。

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