第698話 柳生宗矩合流

アドリア海のイタリア半島のさらに突き出た半島で、神聖ローマ帝国艦隊を牽制していた柳生宗矩の前に浮上する。


当然のごとく、砲台に設置されたアームストロング砲はこちらに向いたが、遅れてきた 蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲双胴型戦艦の艦隊が見えると、アームストロング砲は上を向いた。


迎えに来た警備の小型船に乗り移ると、


「御大将、驚かせないで下さい。それでなくても、こちらは毎日緊張の日々なのですから」


と、柳生宗矩に怒られてしまった。


「すまんすまん。あの船は宗矩に任せる船だ。潜水艦5隻の潜水艦艦隊長を命じる」


「はっ?いきなりそんな事を言われましても」


と、珍しく困惑の焦りの表情を見せる柳生宗矩がなんだか微笑ましかった。


「荒木又右衛門に訓練航海とここまでの航海でしっかりと教え込んでいるから副官とするれば問題はないだろう。それに、通信で戦艦・伊弉冉尊からも指示は細かに出せるからな」


「はい?つうしん?」


「聞くよりは見る。百聞は一見にしかずだ。先ずは乗ってみろ」


と、砲撃型潜水艦に無理矢理乗せ潜行すると、上から


『マコトサマ ドチラヘ』


と、モールス信号機が打たれた。


『チョット シケン コウコウ スグ モドル』


と、お初に返すと、


「そんな、ツーツーツーとした音でやりとりしているのですか?」


と、柳生宗矩は驚いていた。


「通信手が電信するから宗矩は覚える必要はないぞ。そうだな、新たなホラ貝の合図だと思ってくれ」


と、説明するが自分でもやりたいらしく、熱心に通信手に聞いていた。


「宗矩、この潜水艦と上の艦隊とで神聖ローマ帝国艦隊を殲滅する」


そう言うと、宗矩はキリッとした目に切り替わり、俺が考えた作戦に耳を傾けていた。

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