第697話 砲撃型潜水艦

1612年初夏


欧州イバラキ島を出発。

柳生宗矩と合流するまで俺は砲撃型潜水艦・月夜に乗り込んだ。

戦艦・伊弉冉尊は艦長代理はお初として任せた。


潜水艦の内部は電球のおかげで意外と明るい。

20メートルほど潜って進んでいる。


「50メートルまでは潜れるくらいには出来ているよ」


と、磯原佳代が説明してくれた。


「砲撃型潜水艦の完成ってすごいよ。よく俺が欲しているのをわかったね」


と、聞くと


「昔、そんな漫画読んでいたじゃない。真琴君の趣味は覚えているよ」


と言う。


俺は確かに太平洋戦争で死んだ者が戦争が始まる前に戻ってオーバーテクノロジーで戦争に勝つ漫画を読んでいた・・・・・・?


「ん?って、パラレルワールドの未来にも世界大戦はあるの?」


そう、その漫画は太平洋戦争が発生していなければ書かれることのない漫画だ。


「起きていますよ。ヒトラーが台頭したせいで起きているよ。民族至上主義の名の下に世界を敵に回して。そのヒトラーと戦うのが日本ですから」


と、大分俺の知る戦争とは違う物語を聞かされた。


「俺、未来で戦争が起きないようにするために戦っているのだけど・・・・・・」


「私の未来では大日本合藩帝国は、これほどヨーロッパに国土を持っていませんから影響力は薄くて。真琴君が志し半で消えているから」


「なるほど、そういうわけか。俺が途中で死んでしまうと、俺が知る未来に近づいていくのか・・・・・・」


「真琴君の時間線の未来は私にはわからないけど、私の未来では民族対立、宗教対立はありましたから。それにアメリカ大陸の覇権争奪戦とか」


「それをなくすために戦っている。力を貸してくれるね?」


「もちろん」


と、磯原佳代は腕に抱きついてきた。


「真琴君の為なら核兵器だって作ってみせるよ」


「おいおい、流石にそれは無理だろ?」


と、言うと磯原佳代は首を横に振った。


「私の乗ってきたタイムマシーンの核融合炉を使えば50メガトンくらいなら5発出来るよ。核融合炉の制御を暴走させれば良いだけだから」


50メガトン・・・・・・ソビエトが実験した世界最大級の核爆弾ツァーリ・ボンバ5発分のタイムマシーンってなんなんだよ。

核爆弾の帝王を乗せて旅をしていた?はっ!それを常陸国に?


「ちょっと、それ大丈夫なの?暴走しないの?」


「そこは大丈夫。何重にも安全装置を付けているから私が操作しない限り絶対に爆発しないから。私が乗ってきたマシーンをこの時代の兵器で傷を付けることすら出来ないよ。壊れたのはタイムトラベルとパラレルワールドトラベルの壁を抜け制御するための人工知能。それは流石に交換しないとならないくらいに壊れてしまったから」


・・・・・・マッドサイエンティストオソロシア。などと思っていると、


「敵と思しき戦艦を検知しました。魚雷発射しますか?」


磯原佳代の顔を見ると、


「有線操作式だけど狙い通りに撃てるよ」


もう20世紀の武器を所持してしまっている事と理解した方が良いみたいだ。


「敵戦艦に向かって魚雷発射」


と、命令すると魚雷が発射され、戦艦は海の藻屑として消えた。

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