第687話 磯原佳代3
1611年12月1日
船大工の反発も受けながらも5隻の潜水艦の試験航行を開始した。
「造船所にある船で浮く物は沖に退避させます」
と、指示をすると
「そんな無理矢理すぎっぺ」
と、またしても国友茂光の反発に合うが、信琴様が
「言うとおりにしてあげて下さい。それと、港からは最低限の警備だけを残して内陸に避難を命じます」
と、にこやかにも強い眼力で命じていた。
「これで良いのですよね?」
「えぇ、ちょっと私の知識では鹿島まで津波が来たかは不明ですが、明日、三陸沿岸は大打撃となる津波が押し寄せます。私の時代ですら津波の力には打ち勝つことは出来ませんでした。兎に角、海岸線から離れることが何より重要」
「それなら、伊達藤五郎成実殿にも使者を出しているので心配はないはず」
災害に対して言えば民主主義では、国民に退避を強制する事は難しいが、君主制だと命じる事が出来るという点においては利点だと思う。
もし外れたとしても文句も言うのが難しい。
一政治家だと次の選挙での当選が難しくなるのを覚悟して命じなければならなく、そのような奇特な政治家はいないだろう。
民主制と君主制が上手く融合した国が理想的で、私のいた未来では制限君主民主制として日本国は存在する。
選挙で選ばれる政治家が決められないような事を日本国政府参与が寄り合いを持って決め、帝の詔として発布する。
もちろん選挙で選ばれた政治家の国会は、その詔を過半数の議決で拒否権があるが、日本国政府参与は自らの利益が制限されているため私腹を肥やすような詔を出すことは出来ず、国民と寄り添い国民のためだけを考えているため、詔の乱用が起きない。
その政治制の一歩を作り出したのが、黒坂真琴。
真琴君は今、戦っている。
早く私はその手助けをしたい。
今、出港しないと遅れてしまう。
明日の大きな地震が来る前に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます