第688話 慶長三陸地震1611年12月2日(注意・地震・津波描写あり)
注意
地震・津波描写があるため苦手な人、心に思うところある人はこの回はお控え下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「皆の者、地震に備えよ。真琴様と佳代殿の予言では地震は三度揺れるとの事、落下物に気をつけよ。外の広いところで炊き出し握り飯を作って備えなさい。城には身分関係なくすべての者達が避難できるよう城門を開けよ」
私は地震に備えて五浦城に兵を率いて入城した。
鹿島の港には信琴、磐城沖には信海の艦隊を配置する。
五浦城は海に面した城で城内に複数の港を持つ城だが、建物の大半は高台に作られている。真琴様が縄張りを考えた城は真琴様の時代に起きた津波で被害がなかった所を考慮して作られている。
さらに建物も真琴様考案の耐震設計、ここを災害の陣頭指揮を取るのに良い場所と考えた。
伊達殿には使者も出し藤五郎成実殿が領民が海に近づくことを禁止させた。
蝦夷地にも、樺太の北条須久之介氏琴と黒坂男利之介守琴に陣頭指揮に立つように信忠様の命を出して貰った。
知っている災害は準備さえ出来ていれば人的被害は最小限に抑えられる。
そう考えながら高台から海を見ていると、突如地鳴りが響き出す。
来るっと思った瞬間には揺れが襲ってきた。
「皆、慌てず身を守りなさい」
長い揺れが続くがさほどの大きな揺れではなかった。
昔、近江大津城で体感した地震より揺れというなら軽いだろう。
しかし、揺れが小さくても注意しないとならないのが津波。
地震がなぜどのようにして起きるかを真琴様に聞いているので、揺れの大小だけで判断してはいけない。
「津波は昼過ぎに来るはずです。今一度、馬を走らせ、海岸沿いに人がいないか確認しなさい」
と、兵士に命じる。
しばらく余震で揺れる。
海を見張っている者から
「潮が引いていきます。・・・・・・沖に白い線が見えます」
私も望遠鏡で見ると海面が盛上りなって進んできているのが見えた。
「鐘を鳴らし狼煙をあげて危険を知らせなさい」
鐘を鳴らし狼煙を上げる。
ゴゴゴゴゴッと音を立てながら来る波。
五浦の岬に勢いよくぶつかって跳ね上がった。
佳代殿の調べでは被害は奥州沿岸と蝦夷地の被害が甚大になると。
常陸国の被害の記述は見当たらないが用心に超したことはないという。
そんな警戒していたぶつかってきた津波は五浦城に被害を出すことなく、引いてはお仕寄せを繰り返した。
「伊達殿に使者を。被害と支援の必要かを確かめなさい。領内の海岸沿いにも物見を走らせて」
と、指示をする。
翌朝、物見からの報告で領内の被害は軽微で海岸沿いから避難させていたので、流された者は出なかった。
一週間後、伊達藤五郎成実からの報告で、人的被害はなかった物の仙台平野の田畑が津波で甚大な被害が出たと知らせが来た。
留守を預かる私がそれを見て見ぬふりが出来ようか?
「奥州の者達が飢えで苦しまぬよう食糧の手配を。田畑の復旧も支援します」
二週間後、信海に蝦夷地にも食糧を持たせて出立させた。
皆、黒坂の名に恥じぬ働きをと一生懸命になって働いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
申し訳ありませんが、黒坂真琴の防災に関する政策は投稿開始当初から書いておりますので、慶長三陸地震についても書かせていただきました。
ご理解下さい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます