第653話 ドクペ
「んんん?こっこれはドク●ーペッパーじゃん!!!!」
アセナがいつものように執務の合間に持ってきてくれている炭酸ジュース、最近忙しく気分も落ち込み食べ物の味すらわからない日々が続いていたが、飲み干したあとのゲップの香りに懐かしさを覚えもう一杯持ってきて貰い、ゆっくりと飲むと間違いのないくらいにド●ターペッパーだった。
茨城県には生産工場があるため、子供の頃から自販機、スーパーの飲み物棚にあるのが当たり前で良く飲んでいた。
俺はこの時代に来てずっと求めていた味。
「もう最近ずっとこれ出していたんだよ、おにいちゃん」
と、アセナは言う。
俺が森坊丸の死を悲しんでいるときに、飲んで落ち着きを取り戻したのを見てアセナは毎日作り続けてくれていた。
「ありがとう、これだよ、俺が求めていたのは」
と、アセナの頭を撫でて褒めるとアセナは照れはにかみながら、
「えへへ」
と、笑っていた。
夕飯にも作って貰い、ドクペを飲みながら食事をしているとお江達も飲みたげな顔をしたのでコップに注いであげる。
「・・・・・・うげ~なにこれ~」
と、お江は眉間にしわを寄せ、ミライアも
「・・・・・・うっ」
と、苦虫を噛み潰したような顔をした。
オルショリャは、
「トマトジュースのほうが、良いわね」
と、口に合わない様子。
意外にもせ小滝が、
「薬草の調合した物より美味しいです」
と、喜び、
「これに滋養強壮の薬草も入れてしまえば御主人様が元気が続きますね」
と、不穏な事を言い出した。
小滝は以前に、怪しい精力剤を作り上げているので危険を感じる。
「いや、これはこの味が良いんだから止めて」
と、全力で止めるとその慌てっぷりが面白かったのか皆が笑ってくれた。
最近少し暗かった食卓に笑いが戻った。
「くぁ~もう一杯」
「ほどほどにしてください」
と、健康管理をしてくれている小滝に怒られてしまった。
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