第632話 マリョルカ島と猿飛佐助

 くそ、先ほどの爆発は造船所を爆発させたのか・・・・・・。


マリョルカ島に上陸した俺は、島の入り江に築かれていた港付近を探索している。


なにかないか、なにか手がかりはないか?


と、未だ建物が燃える中を煙に目をしばしばさせながらくまなく探す。


建物の外では爆死した敵兵士達の遺体が転がっている。


「生きているものはいないか探せ」


配下に指示を出ししばらくすると、


「頭、こいつ息してますぜ」


「どいつだ、自問する」


と、その敵兵に近づくと右足は爆発で失っており虫の息の者を配下が止血して生き延びさせようとしていたが、わずかに動く手で抵抗していた。


「貴様はここにあった船は知らぬか?」


ラララ様直伝の異国の言葉で話しかけると、


「はははははっ、知っていても話す物か、そうか・・・・・・黒坂はあの船を恐れているのか?はははははっ」


「おい、こいつを殺すな。傷の手当てをしてジブラルタルに送る」


と、指示を出したときに敵兵は、落ちていた材木の破片で自分の胸を刺していた。


「ぐ、ぐ、知っているぞ・・・・・・黒坂は・・・・・・悪魔・・・・・・魔術で話せるって噂・・・・・・言ってた・ま・る・か・・・・・・」


そう言って息が止まった。


御大将の敵兵をしゃべらせる物は魔術の類いではなく、薬なのだが、それは今は関係ないか。


「他に生存者がいないか徹底的に探せ。それと敵の船の手がかりがないか探すんだ」


ひたすら探索を続ける中、真壁殿の手で日本国旗が高々と城塞の一番高い所に掲げられていた。


それはマリョルカ島の占領を意味している。


初戦も圧倒的火力で勝利したが未だに全容をつかめない敵の謎の船に不安を感じながら、夕日を反射させている日本国旗を俺は見ている。


「引き続き探すぞ」


・・・・・・。

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