第625話 沈没?
「大変です。バルセロナから早馬で巡回に出ていたChampion of the sea TSUKUBA号が沈没したとの一報が」
執務室に珍しく慌てて入ってきた柳生宗矩は肩で息をしながら、知らせに来た。
「被害は?原因は?なぜに沈没した」
「詳細はわかりません。次の早馬を待ちますか?それともバルセロナに出港の準備を?」
「出港の仕度を・・・・・・ん?バルセロナには船があるのに真田幸村は早馬で知らせてきた?宗矩」
戦艦・伊弉冉尊は守りの要として動かせないとしても、Champion of the sea KASHIMA号があるのに早馬?
柳生宗矩も気が付いたらしく、
「敵の攻撃ですか?」
「可能性はなくはない。このジブラルタル港も厳戒態勢に入れ」
「はっ、すぐに」
宗矩が部屋を出て行くと変わりに、ミライアが部屋に来た。
「・・・・・・あの、父から常陸様にお知らせせよと、手紙が来きておりますが」
ミライアの父親はイギリス帝国海軍提督フランシス・ドレークだ。
同盟を組むイギリス帝国の提督からの手紙。
『オランダ人発明家コルネリウス・ヤコプスゾーン・ドレベルが何やら珍妙な船を発明したとの噂があり。注意されたし』
短い手紙だったが、俺にはその名前に見覚えがあった。
「くそ、先に造られたか、ミライア、宗矩を呼び戻してくれ、それとお初だ、お初は学校だろう?すぐに戻らせてくれ」
「・・・・・・はい、わかりました」
「それとミライア、すぐに戦闘出来るように甲冑を着用して帯剣を」
もし俺の予想が正しければ、ジブラルタルの港にも潜入が可能になる。
密かに侵入しジブラルタルを攻め込まれると厄介だ。
俺も甲冑を着用し、臨戦態勢に入るとお初と柳生宗矩が部屋に来た。
「御大将、いかがしました?」
「真琴様?戦に行くの?」
二人は俺がいつでも出陣出来る格好に驚く。
「俺が新しい技術を次々に提案してきたせいで敵も技術が進歩した可能性が高い。Champion of the sea TSUKUBA号の沈没原因は解らぬが、イギリス帝国海軍提督フランシス・ドレークからの手紙だと俺が造ろうとしていた潜水艦を相手が作った可能性がある」
オランダ人発明家コルネリウス・ヤコプスゾーン・ドレベル、潜水艦を始めて作ったとされる名が出て来た以上は最悪の事態を考えよう。
「お初、ジブラルタル城下厳戒態勢の指揮をせよ。密かに入る敵兵がいないかだ」
「はい、すぐに手配いたします」
「宗矩、焙烙玉は作れるか?」
「御大将、焙烙玉ですか?当家の技術力ならすぐに作れますが、また古い物を」
と、不思議がる柳生宗矩。
「潜水艦は水面ギリギリにしか顔を出していないはず。アームストロング砲で狙うは困難、焙烙玉で応戦する。水中で爆発するように密閉した容器で作ってくれ、それと焙烙玉を浮きに付け紐で繋げ浮かせられないかもだ」
魚雷と機雷の開発の指示をすると、
「水中爆破式焙烙玉なら一週間も有れば出来ますが、浮きに付けるのは、引っ掛かったら爆発するように作るのですよね?しばし時間が必要かと」
仕方がないだろう、完成までの指示を出さないと、被害が広がりかねない。
「水中爆破式焙烙玉完成までは、大型船は港で厳戒態勢で停泊させ小船で水面を監視させよ。もし水面に何か有れば油を海に撒き火を放て、バルセロナにも同じ指示を出せ」
そう指示をしているとバルセロナからの二報の早馬が来る。
「Champion of the sea TSUKUBA号は、船底に何かがぶつかる衝撃を受け、大きな穴が開き沈没。監視をしていた者の中に鯨のようで鯨ではないような物が体当たりをしてきたと、申しています」
「で、兵士たちは?」
「はっ、御大将が常々船より命だと申しておりますので、船長の猿飛佐助が下船をすぐに命じましたので死者はおらず、けが人が若干名出ております」
「ん、わかった。それで良い」
早馬で疲れきっている伝令を休ませる。
「・・・・・・やはり、潜水艦の可能性が高い、皆すぐに対策を始めてくれ」
お初と柳生宗矩は指示通りに急いだ。
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