第614話 霧隠才蔵
1608年冬
真田幸村と経津丸と北斗を乗せた戦艦・伊弉諾尊がジブラルタルに帰港した。
地中海各地を回った俺の子二人は一回りも二回りも大きく成長していた。
子供達の無事の帰りを祝うより先に、真田幸村が内密の話しがあると言うので、ジブラルタル城天守最上階で柳生宗矩と話しを聞く。
「御大将、各地の港は強固になっています。ですが、当家の大砲の前には無力でしょう。それより急いで耳に入れたいことがございます」
と、地中海各地の様子より大事な話があると言う幸村は鬼の形相をしていた。
「どうした、幸村?」
「我が家臣、霧隠才蔵をヴェネツィア港の城に忍び込ませたところ、ただならぬ謀をの密会を耳に致したとのこと、才蔵、報告申し上げろ」
すると、襖が開き猿飛佐助と一緒に頭を下げていた。
真田幸村の忍びの家臣の一人。
猿飛佐助は護衛にジブラルタル城に残ったが他は真田幸村と一緒に諜報活動をしていた。
偶然霧隠才蔵が耳にしたことはバードリ・エルジェーベトを俺が冤罪で始末して、それを口実に各地に血縁で結ばれているハプスブルク家を中心に決起する企て、そして、狼男が俺だとばれているという事。
そして、狼男を討つために・・・・・・。
「はははははっ、釣れたな」
と、笑うと宗矩は眉間にしわを寄せながらため息を一吐きし、
「笑い事ではありません。知らないで襲撃に遭っていたらと思うと」
「だが、知り得たのは幸運だな。この時代線は俺に見方すると言っているんだ」
「御大将、狼男はお控えください」
と、幸村も言うが、
「迎え撃つ。全て生きたまま捕まえるぞ、それが出来るのはここにいる者ぐらいだろう」
今ここにいる、俺、柳生宗矩、真田幸村、猿飛佐助、霧隠才蔵、ジブラルタル城にいる中では最強クラスだろう。
それと互角に戦える者は少ないはず。
さらに幸運にも迎え撃つ準備も出来る。
戦闘時、戦力が互角なら相手を殺さずに制するのは難しいが圧倒的準備と戦力が整っていれば生きたままも捉えられる。
「御大将、生きたままにこだわる理由は?」
「まあ、見ていろ。生きたままの方が都合が良いからな」
「地獄の業火で焼くためですか?」
と、幸村が聞いてきたが俺は首を振るだけで答えてはあげなかった。
うまくいけば良いのだが・・・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます