第577話 新甲冑・和式呂菩殺怖式甲冑

 武田信玄の諏訪法性兜(すわのほうしょうかぶと)や、石田三成の乱髪天衝脇立兜(らんぱつてんつきわきだてかぶと)のように兜にはヤクの白い毛がフサフサとあしらわれ、前立てには武甕雷男神を具現化したような金の人面で、目にはオーストラリアから仕入れているオパールが使われていた豪華な飾りを持った、鹿島大明神愛闇幡型甲冑(かしまだいみょうじんあいあんまんがたかっちゅう)は戦艦・武甕槌と共に沈んでしまった。


そこで新しい甲冑をデザインしているとお初が部屋に来て、ビリビリに破り捨てていた。


うっ、刺されるかと思った。


1000人のハーレムの興奮を落ち着かせるために集中していたのに。


1000人のハーレムを諦めるために描いていたのに。


面接でふるい落とすと決めたのに、なにが腹立だしかったのだろう?お初。


忘れよう。


さて、新デザインは平成最大級アニメ映画配給会社傘下でないのを考えなくては。


ガ●ダム?ザ●?マジン●ーZ?ウルト●マンの甲冑化?戦隊物のロボット?仮面●イダー?


ん~一旦忘れよう。


しかし、重装備の甲冑は、うちの19世紀並みの武装には合わないような。


実際、うちの兵士達の正式装備・和式愛闇幡型甲冑(わしきあいあんまんがたかっちゅう)は、海戦が多いうちの兵士達には不向きだった。


うちには女兵士も多い、なんなら夢のビキニアーマーを作ってしまうか?


などと考えるが、そこは真面目に防具として考えないと。


そうなると、頭を守る物と胴を守る必要最低限で、あとは好みで腕の装備を付けさせれば良いか・・・・・・。


どうも俺が甲冑を描くとハリウッド映画に出てきそうな物になる。


これは版権は大丈夫なのだろうか?


大丈夫、なんせ今は1600年代なんだから。


大丈夫。


そこに描かれた絵は、警察官が瀕死の重傷を負った末にロボットに改造されてしまう映画の主人公をモチーフにした甲冑だった。


それを甲冑師に作らせる。


兵士達に配るための物は銀色。


兜と胴具足だけのシンプルな作りだ。


手足は好みで鎖帷子などを着けさせよう。


俺のは、前甲冑と同じように鹿島大明神愛闇幡型甲冑(かしまだいみょうじんあいあんまんがたかっちゅう)で付けていた鹿島大明神を具現化した前立てを付ける。


両太ももには小型リボルバー拳銃を仕込む。


細かな細工もしてくれる甲冑師。


パカッ、と開くと小型リボルバー拳銃が取り出せる。

 

うん、映画の一場面のようだ。


できあがった甲冑。


兵士達に配る物を『和式呂菩殺怖式甲冑(わしきろぼこっぷしきかっちゅう)』と命名した。


俺のは『鹿島大明神呂菩殺怖式甲冑(かしまだいみょうじんろぼこっぷしきかっちゅう)』


冗談で作ったビキニアーマーをお初、お江、ラララ、小滝、桜子に配ると、お初に張り倒された。


お江だけは喜んでくれた。


「わ~マコが作った甲冑身軽い~」


実は、くノ一のお江としては良いのだろう。


素肌に着用とはいかないが、薄い黒の布地に銀色に輝くビキニアーマーはかっこが良い。

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