第575話 ハーレムルート

 織田信長は俺を茶室へと呼び出し二人っきりとなった。


外には森蘭丸と柳生宗矩の家臣達が警護している。


こういうときは秘密の話しがあるときだ。


「くわ~~久々に美味いお茶だ」


と、俺は相変わらず胃に入ると言うより、心に入ってくるかのごとくの織田信長のお茶に喜ぶと、


「相変わらずだな。美味そうに飲むわ」


と、言い笑った。


「すみません。ご迷惑おかけしましたよね?」


「構わぬ。ただ、儂より早く死ぬことそして、未来に帰る事なぞ許さぬぞ。これだけ世界をかき回しておいて」


「生死に関してはちょっと約束は出来ないですが、未来には帰る事は絶対にないですから。家族を残して消えるなんて考えたくもない。それに未来は一夫一妻なんで」


「ん?」


「あ~、側室持てないんですよ。法律もですけど日本の風潮的にも浮気は御法度ですから」


「くだらん。ちゃんと養える者なら多妻で良かろうに」


俺はうんうんと、深く頷く。


平等に愛せて、そして、養えるなら一夫多妻のが良い。


また、多夫一妻だって良いと思う。


少しは少子化対策になるだろうに。


「そんな常陸に次々と側室の話が来ておる」


「え?マジ?」


と、うれしさのあまり軽々しい返事をすると信長は呆れていた。


「常陸は女子に関しては、秀吉に似ているな。秀吉もなにやらどこかの国の伯爵の未亡人を側室にもらい受けたぞ」


「伯爵夫人?」


「なんでも、ハプスブルク家の縁者らしい」


「へー、俺ヨーロッパの歴史は少し苦手でハプスブルク家とかメディチ家とかなんだか良くは覚えていないんですよ。複雑な血縁関係で結ばれているし」


「儂は興味がない」


「え?枯れました?」


と、言うと扇子で軽く叩かれ、


「馬鹿か。まだまだ現役だ」


と、笑って言った。


「で、希望者ってどのくらい来ているのですか?」


「およそ1000人だ」


「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?1000人の側室って一年に一人抱いたとして3年かかりますよ」


各国の王家の血筋の者、貴族の娘、そして、日本国の貿易に関わろうとする商人の娘などが次から次へと来ていると言う事だった。


1000人の異国の娘の側室・・・・・・万歳、万歳、万歳。


と、途方もない側室の数のため心の中で万歳をしていると、にやついている顔に扇子で突いてくる織田信長。


「お初に刺されても儂は知らんぞ」


と、呆れながら茶室を出て行った。


うん、どうしよう・・・・・・。

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