第574話 その時、歴史が動いた
佐々木小次郎に任せてあるマイアミ城を経由して、ジブラルタル城港に無事に入港する。
新しい航路は大きな失敗もあったが、無事に開拓出来た。
世界一周を果たした瞬間だった。
俺の耳には、『その時、歴史が動いた』と、渋い声で流れてきた。
やはり北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の間の地峡を通るルートを考えないと。
パナマ運河建設。
膨大な費用と日時がかかるだろうが、必要なルートだ。
インカ帝国・アスティカ帝国の協力の下、計画するか、土木建築が得意な者を開発奉行にして。
ん~うちの家臣だと藤堂高虎だろうな。
などと、考えながら織田信長が待つ本丸御殿に足を運ぶと、
森蘭丸が、
「常陸様、御無事でなによりです」
と、出迎えてくれた。
「はははっ、ちょっとやらかしちゃって」
死人が出てないので、笑い事として語れる。
すると、蘭丸は、
「笑い事じゃありません。いづこかに消えてしまわれたのかと冷や冷やしたんですから」
と、ぷんすかと怒っていた。
「心配させて申し訳ない」
「本当です」
「信長様、怒ってます?」
「いや、心配されてましたよ。口には出しませんでしたが、地図を見ながらずっと扇子で日本からの海路を考えていましたし」
「本当に申し訳ない。新しい海路を開拓したくて」
と、話をしていると・・・・・・!
「あはははははははははっ、なんですその服」
港に入港してなかなか登城しない俺を自ら見に出向いた、三人。
織田信長、羽柴秀吉、前田利家。
皆、着物なのに首もとがヒラヒラの飾り、エリマキトカゲのような飾りを付けているミスマッチなデザインの服で現れた。
言葉にするのがなかなか難しいが、平成時代で見た、支倉常長か、天草四郎の肖像画のようだ。
いや、それよりデカい襟飾りが似合わなく笑ってしまうと、
「ほら、見い笑われちまったよ、又左」
いまだに元気な羽柴秀吉。
「俺に言うな。上様が着ると申した服」
これまたいまだに元気な前田利家、
そして、織田信長は襟飾りをビリビリと剥がして羽柴秀吉に渡して、何事も無かったように、
「ふっ、遅かったな」
と、だけ言って御殿に帰って行った。
羽柴秀吉と前田利家はその襟飾りを押し付けあっていた。
まさに香●照之と、唐●寿明とのやり取りのようで笑ってしまう。
史実では、最早この年代には他界している三人なのだが、俺の食生活改善の薦めで長生きしている。
しかもすこぶる元気がよい。
まだまだ働けそうだ。
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