第572話 ブラジル・コルコバードの像
大西洋側の南米大陸の北上は順調に進み、平成時代ブラジルがある地にまで二週間程で到達した。
ブラジルはインカ帝国の支配圏だ。
南米大陸はインカ帝国を中心に小国家共同体となっている。
イスパニア軍を撃退したのが、伊達政宗率いる日本軍そして、インカ帝国軍であったことでそのような形が出来上がった。
独立国家共同体と言っても良いだろう。
インカ帝国からの使者で俺が立ち寄る事がもともと告げられており、また、弥助も南下の際に立ち寄ったので、同盟国の来賓としてのもてなしを受け取る事が出来た。
息子達は異国の地に興味を示し大陸探検をしたい様子ではあったが、今回は先を急いだ。
そして、見えてくるブラジルの地。
ブラジルのコルコバードの丘。
平成時代にはキリスト像が建てられたら地。
そこに、ファナの指示で俺の像が建てられようとしていたが俺は阻止した。
俺が描いた像に変えたのだ。
その像は、南米大陸で伝説に残る白い髭を持つピラコチャと呼ばれる神に、日本式の甲冑を身に着けさせ、顔は西洋的、額にはインカ帝国の至宝として残る黄金の仮面を乗せている。
和洋折衷。
どの国の者かわからない顔立ちにしながらも、手には日本刀、そして、ピラコチャが持っていたとされる、岩を切り砕いたとされるハンドバッグのような物を持たせる。
足下には改めて定められたら日本国旗、そして、インカ帝国の国旗。
そして、南米大陸の小国家の国旗が靡いている。
その像は大西洋を東に遠くを眺めている。
南米大陸は、インカ帝国を中心にそして、その後ろ盾に日本国がいる事を表す像にした。
個人をモチーフにすると、時代が変わり体制が変わったときに悲惨な末路となるから誰か一個人をモチーフにする事は避けた。
「ふふふっ、真琴様も成長したわね」
と、お初は満足気。
しかし、お江は口を尖らせてつまらなそうにしていた。
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