第542話 モアイ島

 意外にも閉ざされた島だと思っていたが、インカ帝国との交流を持っていた。


それはインカ帝国が日本国の技術提供の下、復興がなされ、漁が思いのほか遠くまで進んでいたからだった。


そのおかげで、俺達の存在は孤島でも噂になり歓迎を受ける。


投石用の石は置かれ、文字通り手の内を見せ武具を持っていないのを原住民は見せた。


そのため、俺はフルファイスの兜を外す。


「ラララ、通訳を頼む。海が静まるまでの停泊と水の提供を変わりに陶磁器を送らせていただく」


ラララが通訳をすると、とりまとめ役の老人はそれに同意をしてくれた。


しかしながら、水は最低限しか譲れないと申し訳なく言ってきた。


島を少し案内されると木々がない。


そして、水の流れる川もない島。


そして、不思議な石像を目にする。


「あっ!モアイだ」


「いかがいたしました?真琴様」


「お初、この石像をモアイと言うんだよ」


俺が上陸した島はイースター島だ。


ん~イースター島?


イースター、復活祭の日に発見されたから名付けられたら島の名前になる。


だが、俺はキリスト教徒ではない。


しかも、今日イースターでもない。


俺がこの島の名前を付けられる。


「そうだ、復活祭島よりモアイ島のが良い、この島をモアイ島とする」


お初はメモを取りながら、


「モアイ島ですね。しかし、不思議な石像ですね。仏像かなにかなんですか?」


大航海時代、この島が発見され等時には最早モアイの意味すらわからなくなり大半は倒されていたらしく、平成時代の知られる立った状態のモアイは意外にもクレーン車などの重機で立たされたらしい。


俺の好きな、マッチョなおじ様司会者のクイズ番組でも幾度となく取り上げられる。


どうやって作られたか?なぜ作られたか?どうやって立たせたか?どうやって運んだか?など謎が多い。


ラララの通訳で老人に聞いてもやはり首を振るだけだった。


「兵達に厳命を言い渡す。モアイへの落書き・彫刻などを一切禁止する」


そう言うと、お初はため息を付き、


「真琴様、この船に乗る兵士達は側近中の側近達、真琴様がわざわざ言わなくても、他国の文化を大切になされる真琴様の事は十二分にわかっていますよ」


「ん、うん、そうだな」


幾度も旅をする仲間を信じていなかった自分が少々恥ずかしく申し訳なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る