第522話 画伯
カメラとして使っていたスマートフォンは未来に残すために封印した。
となると、これからは絵で残さないとならない。
ガラス板に写す写真とかあるのは知っているが技法を知らない。
なにせ、フィルム式のカメラも使ったことはない。
カメラと言えば小さな記憶媒体に保存しかわからない。
写真部とかに入っていれば自分でフィルムから写真にする事も学ぶ事もあるのかもしれないが、俺はプリンターでプリントするぐらいしかわからない。
絵師、うちの家臣の狩野派絵師は俺の影響を多大に受けてはいるが、完全な日本画で鳥などを描くなら写実的繊細な絵が書けるのだが、風景画と言うか、城などを描かせると平成に残るいささか細部がわからない屏風絵のようになってしまう。
俺は美少女を書くには良いのだが背景は苦手だ。
ん~困った。
試しに学校の生徒にも書かせてみるが、講師が狩野派絵師なだけにどうしても風景画は日本画的だ。
「マコ~みんな上手いけど、違うの?」
と、お江が言ってくる。
「あぁ、求めている物は風景そのものを切り取ったかのような絵なんだ」
「あ~マコが隠し持っている本みたいな絵ってことね」
お江は俺の隠し持っている旅行雑誌ららぶをこっそりと見て知っている。
他に公言もしていないので怒る理由はない。
家族である、お江に隠しているほうが悪いのだから。
「こういうの欲しいの?」
と、お江が見せてきたのは写真と見間違えるかのような茨城城を鉄黒漆塗風神雷神萌美少女門から描いた写実的繊細な絵だった。
「はぁ?これ、誰が書いたの?」
「私」
と、照れながら言う。
「凄いぞ凄いぞ、なんでこんな絵が書けるんだ?」
「ほら、イスパニアに行った時にマコが忙しい間に教会とか見に行ってて学んだんだよ」
「西洋画の技法と日本画の繊細さを取り入れて自ら完成させたのか?驚きだ、凄いぞ、お江」
お江の頭を撫でるとお江はニコニコして喜んでいた。
「ははは、マコに誉められた」
「この絵の技法を学校で生徒たちに教えてやって欲しい」
「は~い、わかったよ」
お江は学校で写実的絵画を教える。
試しに妻たちに絵を書いてもらった。
茶々は完全な日本画風で雅な梅の花を書いた。
茶室に良く合いそう。
お初・・・・・・。
心を病んでいるのか?
可愛いのに絵が画伯と呼ばれるレベルの絵だ。
声優界にいたな、ちょー人気若手声優で滅茶苦茶可愛くて、滅茶苦茶歌も上手いのに絵は壊滅的。
「う~なんだこれ?仏像?」
「うっさいわね、真琴様を書いたのに」
と、目を赤くして半分泣きべそをかきながら怒り逃げていった。
お初の絵は理解出来ない。
桜子は、ん~春画?しかも、なぜに男同士なんだ?
ん~見なかった事にしよう。
梅子、ん~やはり春画?しかも、女の子同士?
これも見なかった事にしよう。
桃子、ん~エロい。
これはしまっておこう。
小滝と小糸は漢方薬学を学んでいるせいか、植物が写実的繊細な絵だ。
小滝と小糸も絵画指導を頼みたい所だが、漢方薬学を教えているのでそこまで仕事は押しつけられない。
ラララ・・・・・・バブル後に流行ったようなイルカの絵。
ん~なぜにこうなったのだろう?
海が癒される。
これは理解出来る芸術だな。
俺の感性に合う。
次に建物を建てるときにふすま絵に採用しよう。
リリリ・・・・・・?ピカソ?はい?え?ジミーちゃん?
芸術過ぎて理解出来ない。
前衛的芸術絵画と言って良いだろう。
ん~理解出来ない。
「リリリ、これはなに?」
「え?筑波山を書いたつもりですが?」
・・・・・・上下すらわからない絵だ。
俺の感性では計りきれない。
こういた絵が好きな人にならわかるのだろうが。
妻たちの画風は千差万別だった。
今、求めているのは写実的繊細な風景を書ける絵なので、適任者はお江だけだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます