第521話 スマートフォン封印

「頑丈な箱を作ってくれ」


そう俺は左甚五郎と国友茂光に頼む。


「へい、今日は萌えな美少女ではないなんて珍しいですね、殿様」


「ははははは、まあそう言うな。以前、木彫りの細工した箱を作ってくれただろ?あれを収めるのに一回り大きな箱を頼みたい」


以前、耐衝撃型スマートフォンを目立たなくするため、左甚五郎に木箱のケースを作ってもらった。


しかも、組み木細工で開け方は作った左甚五郎と俺しか知らない。


カメラのレンズの穴とシャッターを押すための最低限の穴しかもうけていない。


その木箱には、美少女が彫刻されている。眼帯を着けた魔女っ子、めぐ○ん。


その、め○みんの彫刻の小さな眼帯をずらしてから、帽子をずらして、服をずらす、そしてブラジャーをずらして、パンツをずらす。


この手順をしないと開かない箱はパッと見ると変わったデザインの印籠、薬入れのように見える。


なんとかかんとかソーラーバッテリーで動かし続けたが撮影をするのにも容量が残りわずか、そして電池も膨らみだしてきている。


爆発して完全に使えなくなってしまったら未来で画像復元が出来ないだろう。


よって、電池は取り外し本体を封印保存を決めた。


「わかりました。あの箱が収まる物ですね」


「ああ、約400年封印する物だ。兎に角頑丈にしてくれ。その為に外側は国友茂光の鉄の箱で二重にしたいのだ」


「400年、殿様なんでそんな先まで」


と、国友茂光は驚いている。


「まぁ、気にするな。兎に角頑丈であれば良い」


「400年の後の世で見られても恥ずかしくないものを作って御覧に入れます」


そうやって作られたのが、漆が塗られた鉄の箱、抱き沢瀉の家紋と揚羽蝶の家紋の蒔絵が施された頑丈な箱。


外側は鉄、中に隙間なくぴったりとした桐の箱が入る。


そして耐衝撃性スマートフォンがぴったりと収まる。


「これを法隆寺に保存させてくれ」


以前手紙も託している法隆寺。


平成まで残る建物と言えば法隆寺しかパッと思いつかないのだから仕方がないだろう。


この技術の結晶の茨城城でさえ残るのかがわからないのだから。


今までありがとう。


俺のスマートフォン。


未来でこの時代の事をみんなで見て欲しいな。


願うなら、お祖父様や父さん母さんが龍之介達の写真を見せることが出来ると良いのだが。


過去にいる自分たちの孫・ひ孫。


まぁ、これは希望でしかないがデータ復元されることを願おう。

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