第516話 樺太視察その7
樺太島に滞在して一週間、田畑の状況や漁の様子を視察する。
タラバカニに毛蟹をたらふく食べた。
オホーツク海の恵みだ。
タラの白子に、いくらもたらふく食べる。
尿酸値上がりそうだな。
まぁ~プリン体が多い食事だが、俺の家系には痛風がいなかったので心配は少々低い。
痛風は贅沢病などと言われプリン体接種が制限されるのだが、一説には遺伝的に排出が悪いタイプがかかりやすいらしい。
うちの家系は大丈夫だろう。
そんなことを考えながら夕飯を食べていると、
「真琴様、このような海産物も交易品に出来れば良いのですが」
と、料理担当の小滝が言う。
「あ~蟹は確かに輸送できないしね、タラとか鮭なら塩漬けやら干したり、燻製にしたりして日持ちするけど」
・・・・・・蟹・・・・・・蟹の缶詰。
あっ、ここまでの工業力があるなら不可能ではないかも。
いや、スクリュー式の船を造ろうとしているくらいなのだから缶詰など簡単な物のはず。
缶詰の開発が成功すれば保存食の幅は広がるぞ。
よし、指示を出してみるか。
俺は鍛冶師に缶詰を作るように指示を出す。
樺太でも鍛冶師が活躍している。
鍛冶師のレベルは常陸国と遜色はない。
ただ規模が小さいくらいだ。
熱して蓋をきっちり閉める。
熱で殺菌して真空で閉じ込める。
そうすれば半年くらいは軽く持つだろう。
「殿様、このような物は確かに簡単に作れるとは思いますが、そんなに日持ちするんですか?」
「ああ、物を腐らせる菌と言う目に見えない小さな生物を加熱で殺し空気と遮断すれば日持ちする」
「あっし達は難しい事はわかりませんので、言われたとおりに作りますがね」
と、早速作り始めた。
造られる手作り缶詰に蟹の身をぎっしり入れ加熱して蓋をする。
・・・・・・あっ、缶切り作っておかなければ何だか開けるのに苦労する話が後世に残ってしまうのを思い出す。
確か、世界第一次大戦だかで缶詰は普及するが、缶切りが開発されていないから開けるのに一苦労するんだよ。
指示を出し缶切りも作ってもらう。
蟹の缶詰100缶をとりあえず作らせた。
半分をお土産に持ち帰ろう。
「この50缶をひと月ごと数缶あけて試食し腐敗していないか確認するように、腐敗するようなら加熱が足りないのと密閉が悪いからだから、そこをたいさくするように」
作られた蟹缶は汁は出てこないので密閉性は大丈夫だろう。
「へい、腹を壊すくらいは構いませんが」
「加熱がしっかりできて穴さえ開いていなければ大丈夫だから」
どうも信用はされていないみたいだ。
当然かな、海産物は腐りやすいのだから。
「マコ~これで茶々姉上様も北海の蟹食べられるね」
お江は俺を信じてくれていた。
あっ、側室達は皆信じているみたいだ。
この後、半年後、腐敗しない保存食として缶詰は普及することとなる。
その初めてが蟹缶・・・・・・高級缶詰が第一弾ってなんか良いね。
俺は、この蟹缶を持って樺太を出航した。
須久之介の見合いの事は鶴美と森力丸に任せると、春、雪解けをしころ須久之介が北条家家督相続のお礼報告に安土に登城するときに見合いが決定した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます