第510話 樺太その1

 新たな側室の事は後回しにし、やらないとならないことを済ませる。


日本に滞在し続けるには、まだまだ不安定な情勢でイスパニアの事などが気になる。


短い滞在中にやらないとならないことは多い。


その一つが樺太視察だ。


樺太には俺の側室で北条氏規の娘で、鶴美がいる。


そして、北条氏規の死去により若輩ながら北条家を継いだ六男・須久那丸(すくなまる)12歳がいる。


さらに、アイヌ民の族長の娘で俺の側室のトゥルックと俺の次男・男利王(おりおん)13歳が住んでいる。


樺太は俺の構想の中では北の守りの要、大陸からの侵略を守る為の地だ。


ポキビと呼ばれる大陸と樺太との一番近い土地に要塞も築城中。


開墾の状況や、北条とアイヌ民の共生の視察などしないとならない。


その視察を海が凍り付く季節の前に行かなければならない。


龍之介も連れて行くか考えるが、年明けくらいまでは佐倉城、そして新婚生活になれさせるほうを優先させよう。


今回の視察で須久那丸(すくなまる)と、男利王(おりおん)の元服を考えている。


烏帽子親となる人物を同行してもらわなければならない。


伊達政宗に頼みたい所なのだが、南米にいるのでそれは叶わずだからと行って伊達輝宗を樺太まで連れて行くのは少々無理がある。


適当となる人物、樺太行きを頼める人物は限られている。


そこで下野の独立大名となった森力丸な頼む。


「御大将の御子息の烏帽子親になれるとは光栄に御座います」


快く承諾してくれる。


そして、幕府への届けも出す。


この元服で須久那丸(すくなまる)が北条家としての正式な独立大名の頭首になる。


北条家を潰す戦い立案者の俺の息子が北条家を継ぐ、考えてみると複雑なものだが、そのような事は戦国時代では普通だ。


織田信長の息子が北畠を継いだり、豊臣秀吉の甥が小早川家を継いだりするのだから。


幕府からは「従五位下樺太守」と言う新設された官位の任官の許可が出た。


準備を整え冬が始まる樺太へ向かった。


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