第509話 子作り拒否?

 息子の嫁取りに触発された訳ではないが、茨城城で久々政務をしているので、夜は子作りに励もうとしていたら、


「私達はそろそろ夜伽を遠慮したいと思います」


と、茶々、お初、お江、桜子、梅子、桃子、小糸、小滝、ラララ、リリリ、と言う茨城城にいる妻・側室一同が広間に勢揃いして茶々が代表して言ってきた。


「え?どうして?俺に抱かれるの嫌になった?」


俺は当然のごとく落ち込むと、


「そうではございません。真琴様、私達はもう30を超えています」


・・・・・・聞いたことがある。


確か、この時代と言うか、江戸時代の大奥などでは30歳を境に子作りを女性側から辞退する。


俺の価値観では高齢出産にならない歳なのだが、この時代なら茶々などは特に高齢出産になってしまい自分の身と同時に子供の命の危険性が高くなる。


だから、子作りを断るという。


平成なら医療の進歩で補えるし、女性自身が食生活などの栄養面でも体力があるから問題がないが、この時代はそうはいかない。


食事は平成並みに俺が発展させたが医学は違う。


俺は平成では高校の教育までしか受けていないので進歩はしていない。


そこまでの知識はないのだ。


「真琴様、新しい側室をお迎えください」


お初の意外すぎる言葉に驚いた。


「え?良いの?」


「私達が夜伽を辞退するのですから当然でございます。真琴様はまだまだしたいのでしょ?」


うんうん、と大きくうなずくと、みんながため息を漏らした。


ははは、みんなもう限界だったのね。


この時代の出産適齢期の側室はファナだけしかいないのだが、そのファナ・ピルコワコはインカ帝国の皇帝で茨城城に連れてくるわけにはいかないのだ。


と、なれば新しい側室を迎える事になる。


「ほら、異国の王の妹?娘だかの話しとかあったじゃない。あれを受けたら良いでしょ」


「いや、お初が厳しくそれを監視していたから受けなかったんだろ」


「姉上様とみんなと話し合ったのよ。いつまでも真琴様の激しい夜の営みに付き合いきれないって話しにまとまったわけよ」


と、お初が言うと皆がうなずく。


「私は大丈夫なんだけどね。子供が出来たときに私の体のせいでもしもの事があったらね」


と、お江も珍しく真面目に話しをした。


「みんなが同意見なら遠慮なく、側室を迎えるか」


「あっ、マコ~なんか嬉しそう」


「お初、勘違いするな。うわっお初、刀を抜こうとするな」


言葉とは裏腹に複雑な女心なのだろう。


「真琴様、約束は忘れていませんよね」


「あぁ、わかっている。学校の生徒には手出しはしていないぞ。紅常陸隊の隊員だって例外ではない」


茶々と交わした約束、城を出入りする女の子は多い。


常陸国立茨城城女子学校の生徒。


それに手を出したら、側室を集めていると言う学校になってしまう。


公私混同になってしまう。


それでは本来の学校創設の目的を逸脱してしまう。


「そういう真面目な所は好きですよ。お初が言うように異国の者なら結びつきを強くするのに良いでしょう。異国人の側室をお作りください」


・・・・・・金髪碧眼美少女・・・・・・褐色肌美少女・・・・・・黒色肌美少女・・・・・・ふふふ。


妄想を膨らませ顔が緩む。


「苦しい・・・・・・首を絞めるな」


久々にお江に首を絞められた。


「なんか、マコの今の顔、苛つく」


「少し痛い目を見せてあげなさい、お江」


「御主人様の夜のお世話は出来なくなりますけど、いつまでも私達は仕えますから」


と、桜子が言う中お江の腕を必死に振りほどいた。


「はあ~苦しかった。皆は家族だ。夜伽が出来なくなろうと変わらぬからな」


「はい、これからもよろしくお願い致します」


小滝が言うとみんな頭を下げた。


夜伽がされなくても扱いを変えるつもりもない。


俺の家族であり、そして大事な仲間なのだからいなくなっては困る。


女性活躍化の代表格みたいな存在なのだから、これからも仕事仲間として頑張って欲しい。


さて、新しい側室、側室。

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