第508話 嫁入り行列
龍之介と前田利家の娘、福との婚姻の許可を幕府に申請する。
勿論、形ばかりの事で許可されないはずもないのだが、そういう根回しをちゃんとしておかないとならないのが、幕府を頂点とする国作りなのだから仕方がない。
すぐに許可はおり、俺同様忙しい前田利家が日本国にいるうちに結婚の儀を済ませたいというので、話しは進めた。
1604年10月8日
前田利家が居城・賤ヶ岳城を出立した花嫁の行列は一万人と言う大行列で陸路を進んだ。
驚いたことに嫁入り道具は前田利家が話しを持ってくる前から前田松が準備させていたとのことで、装飾の蒔絵の家紋は前田家の梅鉢の家紋と、うちの抱き沢瀉の家紋が装飾されていた。
この婚儀、どうやら否が応でも話しを進める気でいたな、松は。
帰国していた前田慶次は、
「松は黒坂家と関係を強めたいと考えていましたからね。近江の頃から画策していたのではないでしょうか」
と、言っていた。
近江・安土城で隣の屋敷に住んでいたのはずいぶんと前の事なのだが、その頃から考えていたのかな?
前田家を存続させるために織田信長に近しい人物と縁戚になることを考えていたとしたら、なかなか計算高いな。
まあ、当の本人が気に入っているのだからこの婚儀に文句はない。
この婚儀に合わせて龍之介には下総の佐倉城城主として入って貰った。
森力丸に任せていた城だったが、力丸は下野の大名として宇都宮城に入城したので城主が不在だったので良いだろう。
龍之介は少し城主として独立した生活を送らせねばならぬだろう。
成田長親を付け家老として命じた。
成田長親、印旛付近の開墾を任せていたら一帯を水田として大いに活躍してくれた。
のぼうさんは土と農民と戯れるのが苦ではなかったみたいで、臼井城城主として民に愛される城主になっていた。
うん、雇っておいて正解だった。
出立したと聞いてから三週間してようやく花嫁行列は佐倉城に入城した。
婚儀は香取神宮で執り行い、晴れて我が息子と前田利家の娘・福は夫婦になったが、龍之介には福がもう少し体が成長するまでは床を一緒にすることはしないようにと注意しといた。
13歳でも出産が珍しくない時代だが、やはりそれは危険だ。
医学が発達していない、この時代なら尚のこと。
そこは男が我慢し、大事に考えてやらねばならないだろう。
って、俺、この歳でお祖父ちゃんになる可能性があることに気が付き、少々驚く。
俺むしろ自分自身の子が生まれても全然変な歳でないはずなんだけどな。
ははは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます