第505話 長男・武丸

 俺の長男・武丸は常陸国立茨城男子士官学校で剣術師範代になるまでに成長していた。


茶々と言えば豊臣秀頼をマザコンに育てたイメージが強いが、政治を任せ、また、茶々にとっての次男もいるせいか、極端にマザコンには育てないでいた。


そんな武丸は身長も俺と変わらぬくらいまで成長した姿は凛々しく、たくましい。


常陸国立茨城男子士官学校鹿島本校を視察に行くと出迎えてくれた。


「父上様、おかえりなさいませ」


「うん、立派に育ったな、どれ一手打ち合いをするか」


「はい、よろしくお願いします」


道場で他の生徒の見守る中、革巻きの竹刀を手に取り、武丸と一試合する。


武丸の剣は素早さ、重さ申し分ない成長ぶりだったが、俺がこの時代に来たときのように綺麗な剣術であった。


足技を出すと途端に怯む、


「どうした、蹴られたくらいで怯むな、実戦はこんなもんではない。そして日本の剣術だけと思うな、異国の国々には勝るとも劣らぬ剣術使いはぎょうさんおるぞ」


「はい、父上様」


約一時間、武丸をこてんぱに打ちのめした。


武丸の剣術は鹿島神道流と柳生新陰流の合わさった剣術に育っている。


なかなかの強さだ。


「ここまでにしよう」


「ありがとうございました」


爽やかな笑顔で負けた悔しさより、父親に相手をしてもらった嬉しさのほうが勝っているのがわかる。


武丸と一緒に風呂で汗を流す。


武丸は背中をゴシゴシと洗ってくれる。


「武丸、元服をいたせ、次の航海には連れて行く。世界を父と一緒に見よ。俺の跡を継ぐ以上世界を見聞きし学べ」


「はい、父上様、やっと南蛮の地に行けるのですね」


「そうだ、様々な文化に自らが接して学ぶ事こそが重要だからな」


「わかりました。父上様のように、多文化も尊重出来るようになりとうございます」


立派に育っている。


素直に嬉しく、俺は顔を洗うように嬉し涙をごまかして流した。


さて、武丸の名前を考えなくては。

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