第504話 造船業

 造船業に力を入れている俺の領地。


現在、織田信長直轄水軍配備の蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲船戦艦5隻を鹿島港から送り出した。


そして、造船所では3隻蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲船戦艦が作られている。


これは幕府直轄水軍用だ。


造船の差配は森力丸が取り仕切っている。


「御大将、各地からもっと輸送力のある船は出来ないかとの依頼が来ておるのですが」


「輸送船かぁ、交易が盛んになっているしなぁ~スピード重視の木造帆船だけでは手に負えなくなってきたか、なら高速輸送船にも蒸気機関を取り付けていこう。それと、大型化だ」


「大型化?」


「ああ、双胴船と言って船体を二つ、つなぎ合わせた船を作る。三つ胴でも良いな」


絵にして力丸に渡す。


「なるほど、積載量が増えますね」


船の横幅は基本的には決まっているわけではない。


21世紀でもスエズ運河やパナマ運河さえ使わなければ無視して良いのだ。


そして、まだ俺のこの時代にはそれがない。


横幅制限がないのだ。


特に、アメリカ大陸との航路重視ならなおさらだ。


資材はオーストラリア大陸・アメリカ大陸から輸入すれば良い。


作れなくはない船だ。


・・・・・・推進装置も外輪式からプロペラスクリュー式を試作してみようか。


今すぐの完成は難しくとも、このような品を作って欲しいと提案すると、それを試行錯誤するのが俺の家臣達だ。


原理がわかっていれば作るという事は任せていれば今まで必ず形にしてきた。


今回も数年はかかるだろうが、開発してくれるだろう。


家臣の工業担当の国友茂光に指示を出すと、


「殿様、このような物で船が進むんですかい?」


「ああ、これで船は進む。外輪式より早く進むぞ」


「そうですかい、わかりました。先ずは小型船で試作を繰り返しましてご希望の物が作れるようにしたいと思いますが、船の底に穴を開けるのですか・・・・・・」


スクリュー式の船が開発された当初、やはり船底に穴が開いていることを嫌って採用に渋った軍人の話しを聞いたことがある。


しかし、21世紀ではそれが当たり前なのだ。


おそらく問題点はパッキンになるのだろう。


水の侵入を防ぐパッキン。


「スクリューの軸はゴムを使って水が船内に入らないように工夫すると良い。ゴムも豊富に手に入っているのだろ?」


「はい、世界各地からなんでも手に入りますから、材料には事欠きません。わかりました。この国友茂光の一世一代の大仕事として新たなる推進装置の開発を始めます」


そう言って、国友茂光は工房のある鹿島に戻っていった。

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