第491話 イスパニア帝国包囲網
明確な態度を示していなかったフランス王国アンリⅣ世から使者ル・マンドがジブラルタル城に来た。
↓フランス語
「フランス国王アンリⅣ世の親書を持ってきました」
毎日毎日いろいろな言語を聞いている気がする。
商人の元で他国の言語を学んだラララが通訳となる。
ラララは通訳として万能だ。
しかも、俺の側室、裏切る心配が少ない、いや、ないと言える。
親書の内容は、
『我が国は、内戦で疲弊しており今復興の最中、我が国は日本国に敵対する力はなく、友好的関係を築ければと思います。また、イスパニア帝国の件におかれましても我が国は関与せず、国境のみ防備を固めさせていただきます。それと、厚かましいお願いでありますが、あの美少女を描いた者をルーブルに来てはいただけないでしょうか?あの絵を我が国の文化に取り入れたくお願い致します』
と、書かれてあった。
それを呼んでるラララは笑っていた。
「あははは、御主人様が他国に勧誘されちゃいましたねですです」
笑い事ではない。
ジブラルタル城完成式の引き出物に萌陶器や萌掛け軸を使者に持たせたのだが、芸術を愛するアンリⅣ世にも興味を持たれてしまった。
フランス国王アンリⅣ世、後世に『大アンリ』『良王アンリ』などと呼ばれる良政を行う人物。
どことなく織田信長と被る人物だ。
カトリックとプロテスタントの宗教戦争を終わらせるために「ナントの勅命」を出し信仰の自由を許し、さらに国家再建の為の良い政策でフランスを発展させた。
さらに芸術・工芸家をルーブル宮殿に住まわせ創作活動を行わせている。
・・・・・・?あれ、今の俺に近いような・・・・・・。
「ル・マンド殿、友好的関係を結ぶのはやぶさかではありませんが、その絵の作者をルーブルに行かせることはできません」
↓フランス語
「なぜにございましょうか?国王の客人として扱い、創作に専念できる環境を整える事をお約束致します」
俺は頭をかくしかない。
ラララが、
↓フランス語
「オリジナルの作者は、ここに座っている黒坂常陸守真琴様です。ですから、ルーブルで創作活動をすることは出来ません」
そう伝えると、ル・マンドは驚きを隠せないでいた。
「代わりにはならないでしょうが、定期的に俺の書いた絵をお送り致しますので、それで勘弁していただきたい」
↓フランス語
「そのようにお計らいくださるなら王も喜ぶでしょう。その絵を元にいろいろ作らせたいと思います」
・・・・・・?いろいろ・・・・・・?
なにか嫌な予感がするが、まあ良いだろう。
せっかくイスパニア帝国の背後を押さえ込むことが出来るのだから良好な関係を築こう。
「そう言えば、アンリⅣ世殿はノストラダムスの占いによって王になることを知っていたはずですよね。占い信じます?」
『1999年7の月恐怖の大王が来る』の予言で有名なノストラダムスはアンリⅣ世を王位に就くと予言している。
↓フランス語
「なぜに聞きます?」
「ノストラダムス、単純に興味があるだけです。ただ、俺の噂も知っているかと思いまして、一つ予言を致しましょぅ。1610年5月14日再度暗殺が行われます。よって、警護は十分に行われよ」
↓フランス語
「日本国の右大臣が持つ不思議な力・・・・・・聞いたことが、わかりました。王にお伝え致します」
フランス王国アンリⅣ世・使者ル・マンドにお初が断捨離のごとく俺の書きためた物を渡していた。
その後、ルーブル宮殿が萌化する事は俺はまだ知らない。
萌掛け軸の御礼にと『化粧品とジャム論』『ミシェル・ノストラダムス師の預言書』『ガレノスの釈義』の初版本が送られてきた。
嬉しいが、予言当たらないんだよな。
1999年に世界が滅びていたら俺生まれないし、などと思いながら文庫箱にしまった。
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