第488話 太陽系天体オブジェと中年男性

 大手門・世界平和祈願美少女微笑美門から客人を城の中に案内する。


最初に目にする物は、太陽を中心とした太陽系惑星天体模型立体像だ。


太陽、水星、金星、地球、月、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星が水力の動力で動いている。


見る者、地球儀を知らない者にとっては単なるオブジェでしかなかった。


バチカンの使者にとっては教義を逸脱する、いや、冒涜と言って良い地動説の天体模型立体像。


ルイス・ソテロはしかめっ面となり何も言わずに見ていたが、そのお付き人である中年の男性が、


↓イタリア語

「・・・・・・やはり、地球が回っていると知っているのか?」


と、言っている。


「ああ、地球が宇宙の中心などと言うのは非科学的なこと。地球は太陽の周りを動いています」


そう答えると、


↓イタリア語

「私はバチカンに否定された。しかし、それでも地球は回っている」


そう、言った。


「あなたの名前は?」


↓イタリア語

「ガリレオ・ガリレイと申します」


・・・・・・ガリレオ・ガリレイ来たーーーーーーーーーーー!


「前に手紙をくださいましたね?」


↓イタリア語

「はい、あなた様のお噂を耳にしたので。私は間違っていないのでしょうか?」


「はい、間違っていません。地動説が真実なのです」


↓イタリア語

「ガリレオ・ガリレイ、なにを話している。お前は日本国の技術を評価するために連れてきているのだぞ」


と、ルイス・ソテロが邪魔をしてきた。


↓イタリア語

「ルイス・ソテロ様、勝てません。バチカンは科学を否定する。しかし、日本国は純粋に科学に目を向けている。この天体模型立体像がその現れです」


↓イタリア語

「まだ言うか、地動説などを唱えおって、帰れば再び異端児として裁判にかけてくれる」


「宗教裁判か、馬鹿馬鹿しい。ジョルダーノ・ブルーノのように火炙りにでもするのか?ルイス・ソテロ、ガリレオ・ガリレイを殺したとき、俺が完全な敵になることをローマ教皇に伝えよ。ガリレオ・ガリレイは俺の友人とする」


↓イタリア語

「常陸様、それは困ります」


「そろそろバチカンの態度を示していただきたい。帰って、しっかりと話されよ。これ以上の先延ばしは許されぬぞ」


俺はそう答えて他の客人をもてなすために城に入った。

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