第459話 魔のバミューダ海域

 高速輸送連絡船からの連絡で織田信長はカリブ海を制し、フロリダ半島に城を築き始めているが、南蛮連合軍との攻防戦になっていると情報が入った。


だったら、目指すはフロリダ半島だ。


フロリダ半島を攻めている間、地中海付近の守備は手薄なはずだがフロリダ半島が落とされ織田信長にもしもの事があったら意味がない。


フロリダ半島にいるはずの織田信長水軍との合流が一番だ。


よって目指すは最短距離でフロリダ半島を目指す。


喜望峰城を出航して、大西洋を西北上する。


7日目の朝になると波が荒く嫌な気を感じる海域に到達した。


背筋がぞわぞわする海域。


ひさびさに感じる魔の感触。


地図を確認する。


・・・・・・バミューダ島・・・・・・


「魔のバミューダ海域か!?」


都市伝説だけでなく、映画・白い嵐で知っている海域。


「この海域は未知なる危険がある。艦隊を付かず離れずの距離を保て、風、雨、嵐、波、いかなる異変があるかわからぬ。臨戦態勢で進軍せよ」


と、指示をだすと船員達は陰陽師としての俺の言葉に緊張が走る。


すると、晴天なのに急に雨が降り出してきた。


「鐘を鳴らせ、最重要警戒態勢に入れ」


晴天なのに雷が鳴り出す。


「羅針盤が狂いだしてます」


と、報告を受ける。


すると、時を同じくして波も荒くなり雨も上からも横からも吹き付けるように降り出した。


白い嵐の世界。


「これが魔のバミューダ海域の噂に名高き白い嵐か、魔が住んでいるな。いや、魔の巣窟か、皆、海に投げ出されるなよ。しっかり体を固定しろ。祓いたまへ清めたまへ守りたまへ幸あたえたまへ」


柏手を二回打つ、そして甲冑を着込んだ俺は甲板に立つ。


「祓いたまへ、清めたまへ、護りたまへ、鹿島におわします武甕槌の御神の名で魔の力を封じたまへ、鹿島神道流改陰陽道妖魔封滅浄化邪気退散」


上が海なのか下が雨なのかわからない世界。


甲板立ち、愛刀の童子切安綱を抜刀し高々と空に向ける。


すると、雷が刀に向かって落ちるが甲冑の外側を通って電気は甲板に流れていく、


「武甕槌の大神よ、我に力を貸しあたへたまへ~~~」


童子切安綱が青く光り輝く。


それを白い空を袈裟斬りに大きく振る。


「武甕槌の大神よ、えいやーーー」

 

青い光は空を斬ると今までの嵐は嘘のように静かな海に一瞬煮してかわっていた。


艦橋から様子を見ていたお初が走り寄ってきて抱き締められたら。


「無茶をして」


と、大粒の涙を流していた。


「ははははは、まぁ、魔を退治するのが俺の本来の役目だからな」


俺は陰陽師だ。


魔を退治するのが役目。


だが、バミューダ海域の悪魔を俺は追い払う事を出来たが封じる事は出来なかった。


バミューダ海域の悪魔は俺には強大過ぎる相手だ。


自分達を襲う、海に引きずり込もうとする悪魔を祓い退けるのが精一杯だった。


この海域には何が住んでいるのだろうか?


俺には到底測りきれる物ではない。


今後の航海の安全をただ祈るのみ。


幸いにして、俺の艦隊、船員には被害はなかった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る