第457話 喜望峰城下ダチョウとライオン

 補給と兵士達の休息と船の点検をするため、数日停泊する事になる。


福島正則は原住民から仕入れたダチョウの丸焼きやらでもてなしてくれる。


夕飯にはやたら酒を勧めてくるのがウザい。


酒は自分のペースで飲みたい。


福島正則の対応は、前田慶次に任せる。


酒の対応は酒飲みである前田慶次が一番だ。


俺は側室達とダチョウの丸焼きや、ダチョウの卵のオムレツを食べる。


少し緩い味の薄めのオムレツだ。


「ん~卵は普通に鶏が良いね」


と、お江の口には合わなかったみたいだ。


俺も同意する。


ダチョウの肉は脂身が少なく、タンパク質が豊富そうで健康に良さそうだがなんともなんとも。


そこで、次の日、ミンチにして玉ねぎやパン粉、卵黄を混ぜてハンバーグにすると、さっぱりしたハンバーグになった。


野生の牛もちょっと俺には口に合わない硬い肉質だったのでハンバーグにしてしまう。


トマトソースで煮込むと美味い。


「マコと一緒に来ると美味しい物食べられる」


と、お江はケラケラしていたが、お初が、


「遊びではないのですよ」


と、叱っていた。


二十歳を過ぎた大人でも、いつまでも変わらぬ関係の姉妹が微笑ましい。


「喜望峰城付近を支配下にするから、食料改革は必要だから、遊びに見えて遊びではないのだぞ、お初。この地で捕れる物で栄養状態を良くしないとならないからな」


「真琴様がそう言うなら」


と、お初は黙ってハンバーグを食べていた。


ハンバーグを喜望峰城の料理方に伝授する。


福島正則はと言うと、前田慶次と意気投合してライオン狩りに出て行ってしまう。


ライオン・・・・・・。


食べたくはない。


結果、ライオンではなくキリンを狩ってきた。


なぜにそうなるかは突っ込まないでおこう。


鍋にされたキリンはやはり脂身がなくさっぱりとしている。


馬に似ている感じはするが、あまり美味しい物ではない。


ん~、牛とダチョウだけで良いとしておこう。


あっ!マダガスカル島近い!もしかして、あいついるかな?


「ドードーと鳴く鳥がマダガスカル島にいると思うのだけど、こっちでは、手に入らないかな?」


福島正則に聞くと、


「あ~知ってます。あのマヌケな捕まえやすい結構大型の鳥ですよね。食べたいんですか?美味しくないですよ」


「いや、逆に保護して欲しいんだよね。あの鳥や亀とか絶滅するほどの乱獲しないで欲しいんだよね」


「保護?」


「まぁ~むやみやたらに絶滅するほど捕るなって事」


「ぬはははははは、絶滅するほど取る馬鹿はどこにいるんですか?普通、山に入ったら山菜だって次の年のために残すのが常識」


「それがいるんだよ。俺達が敵にしている国がそうなんだよ」


「南蛮人共は馬鹿なんで御座いますね」


「独自の正義感、価値観を押し付けて世界を制覇させようとしている。だから、それを止めるのがこの長い戦でもあるわけだ」


「なるほど、だからこそ切り取る領地は最小限と言うわけですか?」


「不満はあろうだろうが飲んでもらわねば、俺達だって略奪者になるだけだからな」


「私は、領民が富む政策をしている右府様のやり方は間違ってはいないと思います。農家の出である我が殿、秀吉も農民が富むならと働いておりますからと」


羽柴秀吉、少し苦手だが意外に良い奴だった。


明智光秀と組んでいるのでは?と思った事もあるが、申し訳ない気がする。


栄養状態が良いせいか長生きしている羽柴秀吉にはまだまだ頑張って貰わねばとも思った。

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