第456話 喜望峰城
インド洋を5日で走り抜ける。
風と蒸気機関の合わせ技で脅威のスピードだ。
アフリカ大陸南の先端に見えてくるのは、日本式城郭の御三階櫓が立つ。
それは灯台の役目を持つ物だ。
最上階が光っていた。
朝日が照らすまではその光に向かい進んでいた。
フォールス湾に俺の家門の旗と、馬印、そして、織田家の旗を見えるようにしながら侵入していくと、湾の真ん中の港には大きな城が建てられていた。
複合連結式層塔型5重6階、まるで松本城のような形の天守がそびえ立つのが見える。
警備に当たる南蛮型鉄甲船が近づき、
「我は、この地を預かる喜望峰城城主・福島正則なり、名を申されたし」
と、大きな大きな声で言う。
蒸気機関にも負けない声だ。
「右大臣黒坂常陸守真琴である。出迎え御苦労、補給と休息をいたしたい」
俺も負けずに言うと、
「港へどうぞ」
と、案内される。
港の少し沖に船を停泊させ、積んである亀甲船に乗り換え、桟橋まで移動して喜望峰城に降り立つ。
「改めまして、この地を預かる福島正則と申します」
「ん、であるか。黒坂常陸だ見知り置け」
最早武将としての返事もスラスラと出てくる。
同行している幸村が、
「先に高速輸送連絡船が石炭を運んで来ていると思うがそれを積み込みたい。それと水と食料をお願いします」
「はっ、はい。あのような黒い石を何に使うのですか?それにあの船はいったい」
「黒坂常陸の知識の詮索はしてはならない。そんな事を聞いたことはござらぬか?」
と、幸村が言う。
「申し訳ありません」
福島正則はそう謝る。
「石炭は秘密ではないさ、あの船を走らせるために必要なんだ。石炭を燃やして走るのだからな。アフリカ大陸にも石炭は眠っている。この地を原住民に掘らせ、出た石炭を買うように手配をしてくれ。これからは石炭が世界を制する為には必要だからな」
と、俺はあらかじめアフリカ大陸の石炭採掘出来る場所を陰陽力で占い、印を付けておいた。
その地図を渡す。
「はっ、かしこまりました」
「良いか、労力に見合った報酬を払えよ。原住民は我々より遅れた文化を持っていようと我々と変わらぬ人だ。奴隷のような扱いをするのは俺は許さぬ」
「はっ、わかっております。上様よりも厳命されております。彼等からは今はダチョウや大きな大きな牛を買ったりしておりますが、石炭もわかりました」
「頼んだぞ。これは日本の明暗を分ける大事業だからな」
「はっはい。このような所ではなんですからどうぞ城に」
と、喜望峰城の中に案内されるので天守最上階に上ると眼下には大きな大きな水掘りと土塁で囲まれた総構えの中に繁栄した町が広がる景色だった。
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