第443話 新戦艦・武甕槌
秋が深まり茨城の山々も茶色が抜け落ち始め、霜で白くなりだした頃、鹿島港で急ピッチに造られている蒸気機関外輪式推進装置付機帆船型鉄甲船戦艦の旗艦となる一隻が完成した。
全面が黒い鉄板が貼られた鉄甲船で、可動式ドーム型砲台を搭載一つのドーム型砲台に大口径アームストロング砲3門、前に2機、後ろに1機乗せる。
さらに、今まで通りに船体脇にも24門左右合わせて48門
アームストロング砲、合計57門搭載
全長:120m 最大幅:30m マスト3本 三層構造・450人乗り
真ん中の艦橋もドーム型だ。
弾が当たっても衝撃を和らげる効果を狙う。
そして最大の特徴は蒸気機関の動く推進装置の大きな水車・外輪を両脇に一つずつ付いている。
外輪の外側は敵の砲撃から守るためのカバー付きだ。
今までの船とは明らかに違う異形の形の船だ。
進水式を盛大に行う。
船首には左甚五郎作の荒々しい顔をした武甕槌の像の幕が取られる。
「命名、黒坂艦隊旗艦・武甕槌とする」
俺はそう読み上げた後、鹿島神宮に伝わる神剣・韴霊剣(ふつのみたまのつるぎ)で、御祓いするかのように空を斬る。
「えい、えい、えい」
居るはずもない鹿が海を走っていくのをこの進水式で並んだ者は目にしたと後に伝説的に伝わる。
「この船には俺が艦隊総隊長として乗るが、船長は真田幸村とする。真田幸村隊と紅常陸隊を乗せる。試験航行開始」
すると、マストの帆を張らず外輪の水車がバシャバシャと音を立てながら進む様子に野次馬に着ていた民たちも驚きの声をあげていた。
「海を走る城じゃ」
「城が海を動いておる」
「流石、右大臣様が作られたことがある」
ある程度沖に進んだ所で、巨砲化されたアームストロング砲が火を吹いた。
それは今までのアームストロング砲より大きな音で水面そして空気を震わせた。
鼓膜はビリビリとむず痒くなる。
圧倒的火力を持つ最強戦艦の完成だ。
同型戦艦も着々と造られている。
五隻揃った時、俺は再び大西洋を目指す。
第二次世界大戦で言えば戦艦大和のような船で世界を制する。
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