第426話 皇帝ファナ・ピルコワコ

1598年6月6日


インカ帝国皇帝ファナ・ピルコワコが産気づいた。


医学知識に目覚めた小滝を中心に俺の側室達が出産の手助けをしている。


俺はグアヤキル城の小さな神社の前でただ拝んでいる。


インカの地の為、本当に小さな神社、社だ。


インカ帝国執政でありピラコチャと崇められてしまっている俺が持ち込んだ、日本の伝統宗教が影響を受けないように隠して奉っている社で願う。


「マコ~生まれた生まれたよ~」


何度お江が俺に子供の誕生を教えてくれたのだろうか?


いつもお江が教えてくれている気がする。


と、思いながら立ち上がる俺は、今日も慌てているのかすっころんで埃だらけになってしまい子供に会うのに一っ風呂浴びるはめになってしまう。


「名前どうしよう・・・・・・お江、男か?女か?」


「男の子だよ」


と、着替えを用意してくれているお江が言う。


次期皇帝の名にふさわしい名を考えなくては。


着替えてファナと赤ん坊が寝ている寝室に入ると、疲れたのか静かにベッドで寝ていた。


「名、名は須佐之男命のように強い男になってくれ『須佐(スサ)』と名付ける」


と、言うと二人の世話をしてくれているお初がいつのように、


「ほんと、名前はまともな名を付けるわよね」


と、いつものように言って笑っていた。





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