第425話 真琴と甚五郎とインカ彫金師の魔融合

 左甚五郎は連れてきている大工衆に頑丈な台車を作る指導をする。


車輪の文化を持たないインカ人はそれに興味を持ち、一緒に学びながら仕事をしている。


インカ・マヤ・アスティカが高度な文明を持ちながら車輪を使った台車などの文化が発展しなかったのが少々不思議だ。


カレンダーは謎の車輪状なのに。


左甚五郎は片手間に俺好みの萌美少女の木彫りを作ってくれて、味気ないグアヤキル城を装飾してくれている。


お初に怒られないよう肌の露出は控えめで、インカの伝承などをモチーフにしながら神を美少女化する左甚五郎。


よくわかっている。


長い付き合いになっただけはある。


いつも俺と一緒に怒られる左甚五郎はお初の取り扱いかたも熟知している。


そんな中、インカ人の彫金師が左甚五郎の彫刻に興味を持つのは時間がかからなかった。


インカ人彫金師も俺にデザインを頼めないかと恐縮しながら聞いてきたので書きためてある下絵から、異世●魔王と召喚●女の奴隷魔術のエ●ルガルト、レム・●レウ、シ●ヴィ、クレ●スクルムを選んで渡してみた。


大好きなラノベのチッパイ四人衆と勝手に名付けているキャラクターだ。


チッパイキャラを選んだのは特に意味はない。


左甚五郎の彫刻に注視するお初の目をかいくぐり、インカ人彫金師よる金のレリーフが作られ謁見の間に夜中取り付けられた。


次の日の朝、城を見回りをするお初に見つかり、取り外されそうになるが、ファナが、


「ご主人様、これはなんですか?」


と、両掌を目の前で拝むように組んで目をギラギラ輝かせて見ている。


「萌だ」


「モエ?これが伝説に伝わるモエですか?」


うん、それ知らないんだよ。王家だけに伝わる伝承なのかな?


「いや、そのモエだかは知らないけど、萌だ」


「可愛いです。今までになかった作風、素晴らしいです」


「ねぇ~、ファナちゃん、マコが書く絵はみんな可愛いんだよ」


と、お江。


それにファナが同意の頷きをしている。


そして、横ではお初が頭を抱えながら俺を睨みつけ、尻を蹴ってきた。


痛い。


外すに外せなくなったやるせない気持ちの蹴りなのだろう。


「このような作風、広めたいと思います」


と、ファナが言うので貯めてある下絵を渡す。


インカの金細工の飾りが大きく変わりだしたのはこの日からだと言うのは言わなくてもわかるだろう。


なんか、未来の人、ごめんなさい。

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