第413話 グアヤキル城門
グアヤキル城を築城して3ヶ月、形になってきた。
城門は味気ない丸太を組み合わせた門だ。
鉄の門にしたい所だが製鉄技術がインカ人にはなく施設がない。
南アメリカって鉄鉱石鉱山あったはずだが製鉄業の発展はなかった文化のようだ。
うん、やはり門、味気ない。
左甚五郎に頼みたいところだが今回は連れてきていない。
萌えな彫刻を頼めない。
お初も警戒しているし、でも味気ない門は俺の萌的感覚がいや、美的感覚が許せない。
ファナ・ピルコワコに彫刻師を頼むと彫金師が来た。
金の細工は得意分野のインカ人。
仕方あるまい。
彫金師に頼もう。
うっ、お初が下絵のチェックを始めて可・不可を言い出してしまった。
次の萌門にと考えていた戦場ヶ●ひたぎや、羽●翼は作れなさそうだ。
左甚五郎なら上手く隠して作れるだろうに。
今回はチェックが厳しい。
なら、真面目に路線でいこう。
彫金師に頼む正式な下絵を書き、お初に渡した。
「あれ?今回はまともですね。また美少女を書くと思っていたのに」
「まぁ~今回は、インカ帝国復権の為の拠点だから」
「で、これですか?」
「そう、これで両国が同盟を結んでいるのを表す」
「なるほど、片方は馴染み深いですがもう片方の人物は空白なのは?」
「マンコ・カパックを彫ってもらう」
「マンコ・カパック?」
「インカ帝国初代皇帝マンコ・カパックだ」
「なるほど、良いですね」
お初の許可も出たのでファナ・ピルコワコが連れてきた彫金師に発注をかけた。
もう一度言おう、史実に存在するので放送禁止用語にはならない、皇帝マンコ・カパック。
金が主成分の合金の板に俺がデザインした日本らしい物と、インカ帝国初代皇帝マンコ・カパックの姿が彫られていく。
実寸大約170センチ程の高さの人物、左門戸には和式の甲冑姿の武者だ、オーソドックスの鍬形兜の武者、そして右門戸には初代皇帝マンコ・カパック。
戸が閉まると両者が握手をしているように描いた。
その彫金されたレリーフが門に取りつけられた。
「日本インカ友好門だ」
「いつもこのような門ならよろしいのですけどね」
と、お初。
「ヒタチさまの国 私達の国 イツマデモ続く仲 結びましょう」
と、ファナ・ピルコワコは俺の手を握って来た。
いつもなら止めに入りそうなお初が無反応。
ん?
ファナ・ピルコワコ温かなぬくもりと力強さが伝わってきた。
「よろしく頼む」
と、俺は軽く返事をした。
お初とファナ・ピルコワコは話が済んでるとはまだ知らなかった。
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