第408話 グアヤキル占領戦
佐助が聞き出した情報によると、プナ島からグアヤス川を上流に60キロメートル上った所にフランシスコ・デ・オレリャーナが築いた町グアヤキルが有ることがわかった。
「ファナ、そこを占領するが少しだけ危険な事をするが良いか?」
ファナ・ピルコワコをインカ帝国の復権の為に皇帝としてその町に入る、攻め込むアピールをしなければならない。
考えたのは、ファナ・ピルコワコを輿に乗せインカ帝国の旗を掲げて進軍する。
そうすれば、進軍を目にする原住民が何かしらのアクションを起こすと考えた。
そして、グアヤキルを守る兵士達も攻撃に躊躇が生まれると考えた。
「ヒタチさまに 任せマス」
と、ファナ・ピルコワコの答えだ。
伊達政宗家臣・鬼庭綱元を頭にし400人の兵をプナ島砦守備に残し、真壁氏幹を先頭に1000の兵で進軍を開始した。
ファナ・ピルコワコの両脇は真田幸村と伊達政宗が守りにつく。
先頭の旗は蛇が二匹立てになり口から虹が出ているインカ帝国の旗。
そして、日の丸、うちの家紋の旗だ。
イスパニア帝国兵にアジアの知識がある者がいれば、日本国が
ファナ・ピルコワコの後ろ盾になっているのは一目瞭然にする。
↓インカ語
「ややや、なぜにインカ帝国の旗が」
と、様子を伺っている農民らしき者達が集まり始めてきた。
一旦、進軍を止めると、ファナ・ピルコワコが
↓インカ語
「我はインカ帝国皇帝トゥパック・アマルの娘、ファナ・ピルコワコである。イスパニア帝国に虐げられし同胞よ、我はピラコチャの毛恣意・黒坂常陸守真琴様のお力を借りてインカ帝国を復興する。いざ、反イスパニアの狼煙を上げよ」
と、言うと集まっていた農民達は歓喜の声をあげ持っていた鍬や鎌などの農機具を高々に掲げた。
グアヤキルに進につれて、1000人だった兵はインカ人が次々に合流し5000の大軍に変わっていた。
イスパニア帝国の旗と前皇帝の娘はファナ・ピルコワコは錦の御旗の役目として絶大だった。
進軍して見えてくる町は城塞都市を想定していたグアヤキルだったが、木組みの柵が有るだけの小さな町でしかない。
物見櫓にいたイスパニア帝国兵が逃げ出すのがすぐにわかった。
↓インカ語
「インカ帝国前皇帝トゥパック・アマルの娘、ファナ・ピルコワコである。イスパニア帝国兵は去られよ」
と、ファナ・ピルコワコが言うと真壁氏幹が太刀を抜き兵達に合図をすると30人が一列に並びリボルバー式歩兵銃を構えた。
↓インカ語
「日の本の右大臣の軍がお相手つかまつる」
と、真壁氏幹もたどたどしいインカ語で言うがグアヤキルの木の門は静かだった。
一時間後、攻め込むともぬけの殻となった町。
1597年1月7日
一番高い建物である物見櫓には、その日、インカ帝国と日の丸の旗がなびいた。
グアヤキル占領戦は無血で終わりを迎えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます