第406話 第二戦エクアドル・プナ島砦防衛戦

「狙い定め!」


俺は物見櫓の上で太刀を抜き高々に掲げた。


それをジッと見つめるファナ・ピルコワコ。


「御大将、アームストロング砲、射程距離入りました」


と、真壁氏幹が下でアームストロング砲部隊の指揮を取っている。


「敵、大砲射程距離ギリギリまで寄せ付けてから後方を狙って放て、退路を絶つ」


作戦は敵が近づいて来るのを待ち後方に砲撃をし退路をなくしてから、敵兵に目掛けて砲撃する。


こちらのアームストロング砲の射程距離がわからないからこそ出来る作戦。


イスパニア帝国の大砲より間違いなく射程距離は長いはずだからこそ出来る作戦。


プナ島砦にジリジリ近づいて来る兵数は意外にも多い、3000近い歩兵軍だ。


大砲を大八車に乗せ先頭にし、ジリジリ近づいて来る。


そして、大八車の固定が始まった。


「そこからこの砦に届くわけか」


敵の大砲の射程距離およそ1キロメートルらしい。


「勝ったな、アームストロング砲、砲撃開始、撃てーーーー!」


俺は高々に掲げた太刀を振り下ろし砲撃の合図をする。


敵の後方にねらいを定め届く砲弾。


砦に設置されたアームストロング砲と戦艦からの艦砲射撃。


思わぬ攻撃に慌てふためく敵兵に第二射撃。


後方を完全に絶った所を前方に狙いを定めなおして第三射撃。


陣形は崩れてんでんばらばら崩れ逃げ惑う者、無謀に突っ込んで来る者がいる。


「リボルバー式歩兵銃構え、狙い定まりし者から発砲許可、撃てーーーー!」


そう、大砲だけでない。


火縄銃も改良に改良を重ね薬莢式を完成させた。


さらに、単発薬莢式を連発式にするために改良がなされた。


流石に複雑な構造のウィンチェスターまでとはいかないが、連発を出来るようにリボルバー式を完成させていた。


6発装填リボルバー式歩兵銃。


それを完成させるほど日本の鍛治師集団は優秀だった。


どのような物を作りたいか、どのような動きをするのか完成型がどのような物なのかを示せば、それを目標とし開発してくれた。


対イスパニア帝国戦出航の時には完成にいたっていた。


次々に撃たれる自分たちより優れた銃弾にイスパニア帝国兵は逃げ惑うしか出来なかった。


イスパニア帝国兵の鎧を物ともせず撃ち抜く銃弾。


「アームストロング砲撃停止、銃剣装着、真壁氏幹小隊、追い討ち戦開始、出撃」


砦の扉は開かれ、真壁氏幹が率いる300人の兵士達は追い討ちをかける。


2時間後、俺の目の前に動く敵兵はいなかった。


「勝どきをあげよ、えい!えい!」


「おーーーーーーーー!」


第二戦も呆気ない勝利で幕を閉じた。


戦国時代と、うちの明治維新兵器レベルの差は圧倒的戦力の差だった。


ファナ・ピルコワコは歓喜していた。


↓インカ語

「父上様、御無念は晴れましたでしょうか」


そう言いながら泣いている。


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