第405話 元日の敵
1597年1月1日
俺は早朝から物見櫓に登り東の高い山々を見ながら、少しずつ上る朝日を拝んでいた。
初日の出を拝むために。
太陽に赤く照らされた山々の美しさにホロリと涙が零れ落ち改めて自然の雄大さに感激していると、胸騒ぎがする。
目を山々から地上に落とし、望遠鏡で覗くとグアヤス川には小さな船が密集した軍、対岸にも歩兵軍が見えた。
旗を見ればイスパニア帝国の旗。
物見櫓に設置してある鐘を鳴らす。
「敵兵接近、戦闘準備、急げ」
と、指示を出す。
お揃いの和式愛闇幡型甲冑を着用する兵士たちは準備が出来次第すぐさまアームストロング砲と鉄砲を構え出す。
伊達政宗の甲冑は和式愛闇幡型甲冑が改良され黒く塗られ、三日月の前立てが付いる。
真田幸村も赤く塗られ、鹿の角の脇立てに六文銭の前立てで二人はすぐにわかる。
「伊達政宗、真田幸村、戦艦に乗船、砲撃体制に入れ」
「はっ」
「かしこまりました」
1時間程で迎え撃つ準備は整った。
すると、敵兵の使者が門外まで小船で近づいてくる。
↓インカ語
「我はイスパニア帝国グアヤキル総督フランシスコ・ディアーノの使者、貴公はいずこの軍であり、なぜに滅びしインカ帝国の旗を振りかざすか申されよ」
和式愛闇幡型甲冑を着用させたファナ・ピルコワコに物見櫓に登って貰う。
↓インカ語
「我こそは、インカ帝国皇帝トゥパク・アマルの娘、ファナ・ピルコワコである。侵略者イスパニア帝国はインカの地から去られよ。我はインカ帝国を再建する」
と、ファナ・ピルコワコは力強く叫ぶ。
↓インカ語
「滅びし国に何が出来ると言うか、笑止」
と、イスパニア帝国の使者
↓インカ語
「やーやー我こそは、日の本の国の右大臣豪州統制大将軍平朝臣黒坂常陸守真琴である。我はファナ・ピルコワコと同盟を結びインカ帝国復権に助力する。刃向かう者は殲滅する物なり」
↓インカ語
「日本の右大臣!?このようなところにまさか」
↓インカ語
「日の本の国の使者を磔にしたイスパニア帝国は敵国、さあさあ陣に戻りいざ尋常な勝負をされたし」
と、俺が言うとイスパニア帝国の使者は陣に戻っていった。
すると、進軍が始まった。
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