第404話 エクアドル・グアヤス川河口プナ島
1596年12月10日
エクアドル・グアヤス川河口プナ島に敵戦艦の歓迎もなくすんなりと上陸を果たした。
大半の戦艦はアカプルコ付近なのだろう。
イスパニア人は鉄砲・大砲の新式武器で少人数でインカ帝国を滅ぼしているため、兵士と言う兵士は少ないと思われる。
インカ帝国が滅亡した理由は武力侵略だけでなく、イスパニア・ポルトガルなどの人がもたらした病原菌により一気に人口が減った事も要因なのだ。
何万と言う大軍が侵略したわけではない。
ファナ・ピルコワコは、その地に降り立つと、大粒の涙をながして地べたに額を擦り付けていた。
↓インカ語
「帰って来れました。父上様、母上様、ピラコチャの生まれ変わり、常陸様を連れて帰って来れました。これより、私は虐げられし同胞を助けるべく戦を始めます。どうか、私に力をお与えください」
船内ではインカ語を習っているので聞き取ることが出来た。
大粒の涙を流すファナ・ピルコワコをお初は優しく背中をさすっていた。
お初もまた、故郷を追われたことのある身だから気持ちがわかるのだろう。
父浅井長政が治めた北近江を伯父である織田信長が侵略したのだから。
そんな二人を見ながらも俺は命令を家臣に下さねばならない。
「すぐに砦建設に取り掛かれ、敵は待ってはくれないぞ急げ」
俺はファナ・ピルコワコを慰めている時間はない。
陣頭指揮に立ち守りを固める必要があった。
夜は船で沖に出て休み、昼間は砦建設を実行する。
それを繰り返す。
12月31日
砦はなんとか砲台と物見櫓と丸太を組み合わせた柵で形となる。
その砦にファナ・ピルコワコが描いたインカ帝国の旗を高々に掲げた。
二匹の蛇が立てに並び口から虹が架かっているような旗。
「日本国同盟国、インカ帝国復国を宣言する」
俺は物見櫓にファナ・ピルコワコと共に上りファナ・ピルコワコの左手を右手で掴みあげた。
インカ帝国復権の足掛かりとなるプナ島砦の完成を祝った。
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