第402話 ガラパゴス諸島日本国宣言

「ファナ・ピルコワコ、悪いがガラパゴス諸島は日本国とする。良いな?」


上陸した砂浜で、ファナ・ピルコワコと倒木に腰を下ろして話す。


「え? この シマジマには 人なども 住んでおりませんし 金銀財宝ガ あるとも聞いた ことはないのですが」


「宝ならあるさ、ここの動植物達は他にはない進化を遂げた動植物、世界の宝なのだ。その尊さをわからないもの達が支配すればこの島の動植物は直ぐに消えてしまう。イスパニア人がそうさ。俺ならこの動植物達の貴重さがわかる」


「そう言う コトなら かまいません が、ヒタチさまは なにを知っているの ですか?」


大きな大きな陸ガメを見ながら話している。


「知っている事だけよ」


ただ、そう俺は呟いた。


お初は人を恐れぬアシカに気にいられてしまったようで、追いかけ回されていた。


「ここの動植物はここにしかいない種だ、食料も必要だから狩りは許すが、偏った狩りはするな、適度に違う種を狩るよう厳命する」


と、うちの家臣達に指示を出す。


ガラパゴス諸島の動植物の保護が自分の一言で出来てしまう恐ろしさに少し自分自身の権力が怖かった。


21世紀ただ一匹だけ生き残った陸ガメの死亡のニュースは俺には人間の愚かな面を強く印象付けたニュースだった。


ピンタゾウガメの孤独のジョージ。


残された亀はどれだけ孤独だっただろうか。


あのようなニュースは見たくない。


それを防げる立場に自分はいるのだと自覚しないとならない。


それが未来を知っている俺だからこそ出来ること。


いずれ、ガラパゴス諸島は保護区とし入島制限をするつもりだ。

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