第401話 初戦ガラパゴス諸島海戦

1596年12月1日


南アメリカ大陸を目の前にまず、拠点作りとして狙った土地、それはガラパゴス諸島。


島々が見えてくるとファナ・ピルコワコが、


「アレが ヒタチさま が 目指してる 島と 思います」


と、指差した。


間違いないだろう、俺の陰陽道の力での占いの測位と、羅針盤、天体観測からガラパゴス諸島と確定する。


「戦闘砲撃準備、開戦合図の不動明王の旗をあげよ」


艦隊の連絡手段は基本的には旗と大砲や鉄砲の空砲だ。


不動明王が描かれた旗は戦闘開始を意味する。


「御大将、イスパニア帝国の旗の戦艦五隻発見!ガレオン型木造船と思われます」


と、望遠鏡で見張りをしていた家臣が言う。


ガラパゴス諸島の島のすぐ脇に泊まっているのは武装商船もしくは、ガレオン型戦艦のようだ。


ガラパゴス諸島はイスパニア艦隊の太平洋航海の拠点になっていた。


「よし、これより宣戦布告の砲撃開始、良いか一撃目はわざと外せ、奇襲で負けたなどと言わせぬよう島から船を出航させる。そこを一列になって迎え撃つ」


「威嚇砲撃開始」


ドォーン 

ドォーン

ドォーン


と、大砲が煙を吹く。


弾をわざと外し宣戦布告をする。


敵戦艦も大急ぎで出航して、こちらに反撃する様子を見せた。


「よし、アームストロング砲発射準備開始」


大砲や鉄砲は日々改良を重ねてきた。


そして、火薬も。


鉄砲についてはあとに語るが、大砲はフランキ砲から射程距離を大幅に伸ばし2キロ~3キロまで届くまでになっている。


おそらく幕末のアームストロング砲とは違うのが出来たであろうが俺はアームストロング砲と名付けた。


後ろ弾込め式鉄製大砲


「敵戦艦近づきます」

 

「よし右舷旋回、横一列になり全艦砲撃開始」


東郷平八郎が行ったロシア帝国バルチック艦隊と大日本帝国海軍の戦いの完全な真似だ。


敵前回頭戦法、丁字戦法、と言われる戦法。


北条の水軍を全滅した時と同じ戦法だ。


現戦艦には船の脇に取り付けられた大砲が主力である以上、この戦法が数で物を言わせる事が出来る。


「敵戦艦、射程距離到達、砲撃指示を」


「狙い定め、撃沈するまで砲撃、撃てーーー!」


16隻216門の大砲は一気に煙を吐く。


当たりは一瞬煙りの霧で覆われたかのように真っ白になる。


「第二射準備急げ、準備出来次第撃て」


第二射が準備ができた順に次々に撃たれた。


「第三射準備、煙り晴れ次第敵戦艦を確認後撃つ」


ガラパゴスの風は10分後にそこに敵の戦艦がなかったかのように全てを吹き消していた。


「敵戦艦、全滅確認」


敵に一切の攻撃する暇を与えない砲撃戦、そして、改良を重ねた大砲は、世界大戦の幕をあける知らせの初戦になった瞬間だった。


「海上に浮かぶ者の殲滅を命じる」


「真琴様、それはあまにやり過ぎでは」


と、お初。


「わかっている。だが、相手にこっちの戦力、戦法を今知られては不味いのだ。ここで生き延びた者がイスパニア海軍本体に知らせれば、現在の圧倒的有利の差が縮まる可能性がある。お初、目をつぶり耳を塞いでいてくれ」


青ざめた顔のお初とは裏腹にファナ・ピルコワコは怒りの形相。


「インカが 受けた シウチに 比べたら このくらい とうぜん」


と言い、ファナ・ピルコワコは助けを求め海を浮いていたイスパニア人に向けて弓でとどめを次々に放っていた。


そして、ガラパゴス諸島に上陸した。


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