第399話 僕っ娘
「あの ボク ゴシソク デはナイデス」
皆が一斉に静まってしまった。
あれ?大義名分にならなくないか?ん?
「え?だって皇帝トゥパク・アマルの子って言ったのに違うの?あっ、御子息って言葉がわからないのか?息子って意味だよ」
と、俺が言い直すとファナ・ピルコワコはアロハシャツの裾を掴み出しモジモジとし始めて顔を真っ赤にしながら涙目。
注目の視線は集まる。
「あ!まさか、あなた!ですか?ですか?」
と、ラララがいきなりファナ・ピルコワコの股間を右手で鷲掴みをした。
「え?えっえぇ~~ラララなにやってんの!」
ラララの突拍子もない行動に驚くなか、ファナ・ピルコワコは顔を赤らめて
「ボク オンナです。トゥパク・アマルの娘デス」
ぬぉ~、僕っ娘キターーーーーー!
いや、関西の有名劇団に入学するようなきりりとした顔立ちの子だな、とは思っていたがまさかの女の子。
いくら古代史が好きでインカ帝国の終焉に興味があっても、その子供が男か女かまでは覚えていない。
歴史の表舞台に出て来たような人物でなければ性別などわからない。
「常陸様、姫君でも皇帝の御子ならなんの問題もありません」
と、冷静な森蘭丸に対してお初は、
「あ~あ、またですか?」
と、言っている。
「いや、手出してないし側室にしようなんて思ってないし、だいたい男だと思っていたんだから」
「わかっていますよ」
「わかってくれるか?」
「わかってますよ。そうやって皆、惚れていくんですから」
「うっ」
ぐうの音も出ない。
「常陸様、もう一度兵士達に一言」
と、冷静な森蘭丸。
「前皇帝トゥパク・アマルの姫君を御頭に南アメリカを略取するイスパニアを討つぞ、いざ、出陣」
「「「「「おーーーーーー!」」」」」
織田信長が足利義昭を御頭に京都に上洛した歴史を繰り返しているようだ。
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