第398話 ファナ・ピルコワコ

 ファナ・ピルコワコの素性を知って数日、船は南アメリカ大陸を目指した。


「これより、織田信雄様弔いの合戦だけではない。我々はインカ帝国の復権をするため、南アメリカ大陸に攻め込む。前皇帝トゥパク・アマルの子、ファナ・ピルコワコはこの船にあり、我々は侵略者ではないイスパニアからの解放軍ぞ!大義は我に有り!侵略者、イスパニアに正義の鉄槌をくださん」


南アメリカ大陸に近づく艦隊をちょうどあった小さな小さな砂浜だけの無人島に停泊させ、俺は全兵に宣言をする。


「常陸様、それはいったいどういうことで?」


と、森蘭丸が戸惑いを見せた。


「通訳にと思った者が、インカ帝国最後の皇帝の忘れ形見だった」


「な、なんと、その様な者が仲間になるとは常陸様は人脈の幸運に恵まれていますな」


「ははははは、神仏を敬っているおかげかな?」


と、笑っていると、


「女を仲間にするのはたけていますけどね。珍しく男ですか?」


と、お初が笑いながら冗談にならない冗談を言って皆が笑っていた。


まぁ、認めよう。


女性ホイホイ来る者拒まずだ。


でも、ちゃんと男だって俺に都合の良いように仲間になっているのだけど?まぁ、そこは掘り下げないでおこう。


「皆の者、我々はこのインカ帝国最後の皇帝トゥパク・アマルの御子息ファナ・ピルコワコ公と共にイスパニアを討つぞ、いざ目指すはペルー、出陣!!」


と、号令をすると


「「「「「おーーーーーーー!」」」」」


と、一斉に気合いの入った兵士達の叫びが大気をふるえさせる中、ファナ・ピルコワコが後ろでプルプルと震えていた。


「ん?」

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