第397話 ラストエンペラー

 「ボクは インカ帝国の皇帝トゥパク・アマルの 子」


俺は嵐がさったあとファナ・ピルコワコと船尾にある小さな日本式城の天守型艦橋の三階で2人っきりで話しをする事となった。


家臣でもない異国人のファナ・ピルコワコが跪き神をも奉るかのように祈る姿は流石に俺の家臣しかいない船の中でも異常な行動だ。


なんとか、立たせ天守最上階にいる。


下にはお初達や佐助など側近中の側近しかいなく、話しは聞かれない。


ファナ・ピルコワコが素性となぜにハワイ島にいたのかだ。


イスパニア人、フランシスコ・ピサロの弾圧が厳しくなりインカ帝国皇帝トゥパク・アマルが捕まる時にファナ・ピルコワコは家臣達数名に葦で作られたカヌーに乗せられ、無理やり太平洋に押し出されてしまったとの事。


希望を大海原に託したわけか。


インカ帝国最後の皇帝トゥパク・アマルの子、ファナ・ピルコワコ。


「詳しくは言えないがピラコチャ?ビラコチャ?の、伝承は実は知っているが、俺はその様な者ではないぞ?第一、ピラコチャの外見はイスパニア人ではないか?」


ピラコチャと言う神が再びインカ帝国に降臨するとき、それはインカ帝国最後を意味する。


そんな伝承?予言?


「その予言には続き アリます ハジメに現れる ニセモノのあとに 真なる指導者 アラワレル 第6の時代 モエに導く ピラコチャ」


「はい?」


「第6の時代、モエの繁栄を導く ピラコチャが アラワレル そのモエの時代が ドノヨウナ 時代 文化 ワカラナイ だけど アラタナル時代 来る」


大丈夫なのか?モエ?萌の時代って。


額から汗が吹き出る。


「インカの 希望 ニセモノピラコチャピサロ 殺すために チから 貸して クダサイ 代償は ボクの全て 命 体」


「命を捧げるとか言うのは兎に角やめて、家はそういうの禁止してるから、確かインカとかマヤとかってピラミッドの上で神に捧げるとか言って首斬ったりするよね?それはやめて」


「では 一生涯 ヒタチさまに ツカエマス」


「いや、元々イスパニアとは戦い、フランシスコ・ピサロを倒すのがこの遠征の目的、インカの地からイスパニアを追い出せたなら、港もしくは半島などの幾ばくか土地の割譲と交易の同盟が結べればそれで良いのだが」


「その様な事で良ければ 約束します。ドウカ、お力を」


「なら、インカ帝国復権の為の同盟を結ぼう」


そう、南アメリカ大陸からイスパニア人を追い出したあとを考えていないとならない。


大義名分。


大義名分無き統治は侵略者でしかない。


侵略者、それは俺の望む道ではない。


俺は大義名分、錦の御旗を手に入れた。

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