第378話 茶々と湯治

 紅葉は過ぎ去り少し時季はずれ、そんな領地の常陸国内には意外にも古くからの温泉がある。


それは袋田温泉だ。


そこにいつも留守番ばかりで俺の代わりを勤めてくれて忙しい茶々を連れ湯治に行く。


側室たちもそれは理解してくれ変わりにお初が代理の代表となり、


「仕事は任せて」


と、見送ってくれた。


常陸国内は山内一豊の街道整備が続き、山間部の袋田温泉も水戸城、もしくは笠間城で一泊するくらいで行けるようになっている。


霊柩車みたいな馬車に揺られ、10人ほどの護衛の兵だけで行く。


領内は産業発展で下々の民まで、毎日三食食べられるくらいに裕福になったせいか敵対心などある者はいなく、


「次の城下まで御守りしますべ、ごじゃっぺなことするやからなんか、俺達がくらつけてやっから」


などと農民が護衛になってくれるくらいだった。


自分の政策が成功していると感じる瞬間だ、素直に嬉しい。


水戸城に泊まると、やはり火が通された魚料理だ。


常磐物の魚も容易に手にはいるはずなのに残念。


山内一豊夫妻、ん~山にやはり移そうかな。


次の日には袋田温泉に到着する。

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