第362話 柳生宗矩とキンボルトン城(オーストラリア開発編2)
ケアンズがひと段落し始めたので、オーストラリア大陸西側キンボルトン付近にいるであろう柳生宗矩の所に船を出す。
ケアンズにはChampion of the sea TSUKUBA号・艦長・前田慶次を残す。
残さなくてもすぐ近くには織田信長艦隊が展開しているので問題はないが念の為。
佐々木小次郎と前田慶次の組み合わせには少々不安があるが大丈夫だろう。大丈夫なはずだ。信じているぞ。
ケアンズを出港しトレス海峡を抜け途中、伊達政宗のいるダーウィンに立ち寄ると平成時代ダーウィン国際空港があるあたりでドーム型で城を作り周りを開墾していた。
鬼庭綱元が城代となり指揮をとり開発を進めている。
伊達政宗はと言うと、対岸にあるティウィ諸島を攻略中とのこと、任せておいて大丈夫だろう。
宗矩のほうが気になる。一年任せてそのままなのだから。
オーストラリア大陸を左手に見ながら海岸沿いを進む。
小さな島々がある入り江に向かう。
ロビンソン川河口を目指している。
宗矩に指示したあたり・・・・・・。
あちらこちらで丸太で作られた物見櫓が見えだすと、その物見櫓からは法螺貝が鳴り響く。
家の兵士であるのがわかる。
旗には柳生の家紋が見える。
ずずずい~と進むと物見櫓がいくつも建つ地が見え近くには南蛮型鉄甲船二隻。
ロビンソン川とメダ川に挟まれた土地に丸太木組の城が見えた。
物見櫓にはうちの塀だけではなくアボリジニまで見える。
大きく旗を振っている地が見えたのでそこに小舟に乗り換えて上陸すると元気な姿の宗矩だった。
「おお、宗矩元気で良かった。よく一年頑張ってくれたな」
「はい、アボリジニを従えさせるまでは大変でございましたがなんとかここまでできました次第で」
「なかなか良い城ではないか、今回は大工衆も連れてきている。改築すべき場所は指示してやってくれ」
「はい、天守を作りたいと思っておりました。木も準備は整えてありますので大工衆をそちらで」
大工衆には天守建設を開始させる。
城内を見て回ると基本構造はログハウス工法の城にはアボリジニの姿も多く見れる。
「およそ3000のアボリジニの兵士を雇い入れました」
「ん、そうか、共生出来ているなら手法は問わないが奴隷として扱うようなことだけはするなよ」
「御大将、何年お傍に仕えていると思いですか?アボリジニには農耕指導や漁の指導をして仲間にしております」
「そうか、変な嫌疑をかけてすまなかったな」
柳生宗矩、俺の側近中の側近が俺のいにそぐわないような政策はしていない。
疑ってしまった自分がなんとも情けなく思える。
「御大将、それより戦艦を少々配備していただけませんか?南蛮の船が沖でこちらを窺っているのが度々報告されるようになりまして」
なるほどな、やはりインド洋の航路を持つ南蛮船、日本がこの地を支配しようとしている噂が入れば偵察もしてくるか。
それこそ多くの金が眠っているのをしれば取りにかかってくるはずだ。
「Champion of the sea KASHIMA号・艦長・真壁氏幹、キンボルトン城付き与力として柳生宗矩の指揮下に入る事を命じる」
「はっ、しかと」
「御大将、すごい船にございますね」
「同型艦3隻をいただいた、1隻はケアンズ城守備に前田慶次を置いてきている」
「そうですか、前田慶次殿もですか、御大将がこの地に力を入れているのが改めてわかります」
前田慶次も側近中の側近だからだ。
出来るなら真田幸村もこちらに連れてきて農政改革の仕事をさせたいのだが樺太の事もあるので仕方がない。
その分は伊達政宗に補ってもらおうと考えている。
「羽柴秀吉、前田利家、蒲生氏郷、伊達政宗、も同じくこの大地の開発の任に着かせた。ここから近い所は伊達政宗と蒲生氏郷となる、連携をとって守備してくれ。柳生宗矩、キンボルトン城城主を命じこの西の地の守護と開墾を頼む」
「はっ、謹んでお受けいたします」
インドネシア諸島から近い重要な拠点二か所を俺の信頼できる人物、柳生宗矩と伊達政宗に任せる。
これは大切な布石だ。
南蛮船が攻めてくるとしたならインドネシア諸島側か、ソロモン諸島側かなのだから。
ソロモン諸島側はケアンズ城、ニューカレドニア島で守りを固める、大陸の発展は羽柴秀吉と前田利家が主として行い、蒲生氏郷が遊軍として動けるようにしたいところだ。
信長様の手を煩わせる必要はない。
しばらくこのキンボルトン城にとどまることとした。
質実剛健の柳生宗矩も今回はお金を出すわけではないせいか、やたらと広い城だったのが意外だ。
以前、鹿島城を任せたらやたらと質素だったが、今回は森を切り開くのが同時進行だからか木材は豊富な為、丸太を組んだ壁が城を一周二周三周四周となっている。
迷路じゃないんだから。
食材を調達するため城の一番外側に作られた、アボリジニと物々交換する簡易市場に出る桜子と桃子は、たまに迷子になり泣いていた。
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