第355話 大阪城港

 Champion of the sea HITACHI号と、Champion of the sea TSUKUBA号艦長・前田慶次とChampion of the sea KASHIMA号艦長・真壁氏幹は鹿島港で出航の準備をしていると、仙台から俺の前南蛮型鉄甲船に乗り合流した。


うちの主だった家臣は、お初、桜子、梅子、ラララ、佐々木小次郎、真壁氏幹、最上義康、左甚五郎、合わせて900人の妻同伴の兵士達。

プラス馬5頭・鶏80羽・豚15頭


伊達政宗は鬼庭綱元、屋代影頼、支倉常長、愛姫、同じく妻同伴の家臣達約200名を船に乗せている。


一度大阪城港に入港すると港は大船団60隻が集結している。


流石に鉄甲船は織田信長水軍と、うちの黒坂水軍、それに組み込まれている伊達政宗だけで、他はサン・ファン・バウティスタ号のように木造ガレオン船だ。


それでもこの時代の最高の水軍であるのは間違いない。


城に入るとすでに羽柴秀吉、蒲生氏郷、前田利家は着陣していた。


「おっ、きたか、豪州統制大将軍として皆に申し付ける事が有るだろう」


と、織田信長。


「えっと、これから行くオーストラリア大陸は広大な土地が有りますが、住むのに適した地域は少ない、そこで住み開発をしていくのですからアボリジニの人達と共生出来るように努めてください。アボリジニは敵ではなく仲間です。敵になるのは少し未来の南蛮人、それまで国力を高めたい、よろしいですね?」


「御意」

「御意」

「御意」


と、前田利家と蒲生氏郷と伊達政宗。


「奪い取ってはだめだぎゃか?」


と、名古屋言葉の羽柴秀吉。


「欲しい資源は砂漠の広野、今ではまだ採掘は難しくまた採掘するにしてもアボリジニに協力は絶対に必要になるので、自給自足ができる拠点造りが主な目的と思ってください」


「そうかえ、わかったがや」


羽柴秀吉、見ないうちになんかたくましく生き生き精気が溢れる男になっていた。


羽柴秀吉の九州の領地は、甥の秀次が家督を継ぐ事になったそうだ。


「あっ、それと、オーストラリア大陸に持ち込んで良い物と持ち込んで駄目な物を言いますから厳守してください。馬・豚・鶏・羊・山羊は人間の手でなんとか管理が出来ますので、持ち込みは良いですが、犬、猫、狐、狸、猪、鹿、蛙、魚、鼠は持ち込まないよう気を付けてください。逃げ出せば勝手に繁殖してしまいますから。オーストラリア大陸は長年離れた大陸として動物達は独特の進化を遂げたので、思わぬ物がその生き物を滅ぼしかねなくなるので注意をはらって下さい」


「だっ、そうだ。皆、常陸に従え」


と、信長。


「「「「「かしこまりましてございます」」」」」


出発前の挨拶が終わると羽柴秀吉が隣に来て、


「いや~右府様が送ってくれた漢方を飲んでたら力がみなぎって来たがや、ありがとうございます」


と、言っていた。


ん~効能あるんだね。


前田利家が、


「右府様、これはうちの息子から是非にと」


と、風呂敷包みを渡された。


うん。やってしまった~~、蒔絵が施された手文庫。


その蒔絵は間違いなく俺が送った絵をモチーフにして作られた美少女が描かれている。


言うなれば美少女萌蒔絵となっていた。


この後の加賀の文化は大丈夫なのだろうか?広めておきながらも心配だ。


「美少女萌蒔絵も良いですが、家紋や草木、風景、鳥などを蒔絵にするのも好きなのでお伝えしてください。これは有り難く使わせていただきます」


そんなやりとりのあと、皆、出航の準備に取り掛かる。


新造されていたKING・of・ZIPANGⅡ号同型艦はそれぞれ一隻ずつ、羽柴秀吉、蒲生氏郷、前田利家に与えられていた。


そして、織田信長は船首にはKING・of・ZIPANGⅢ号と書かれている船に乗船した。


全長:100m 最大幅:25m


マストは4本有る。


船の片側には36の大砲が砲口が覗いている。


左右両方合わせれば72門、さらに前方に真っ正面に8門、後方に4門計84門の大砲が見える。


今までの南蛮型鉄甲船よりさらに大きくなった新造艦に乗船していった。


軽く見せてもらう。


船尾には3階建ての小天主があり船の中は4層式、ガレオン船を通り越して戦列艦級の船になっていた。


約150年造船技術を早めてしまっている。


今ならまさに世界を征するのは容易いだろう。


旧KING・of・ZIPANGⅡ号は淡路丸と書かれ、森蘭丸が艦長になる船に変わっていた。


オーストラリア大陸は向けて出航の合図の法螺貝がけたたましく鳴り響いた。

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