第356話 織田信雄と高山右近

 俺は話が有るため、織田信長の船に乗り移る。


信長の船は最早完全に海を走る城だ。


四畳半の茶室が天主二階にあり、ひさびさに信長の茶を飲む。


「くぁ~やっぱり美味いな~」


織田信長のお茶は心に染み悪気物を洗い流すような清々しさがあった。


「バチカンへの使者だが、高山右近だけにしようとしたが信雄が行きたいと申したので、使節団団長に任命し共に派遣させた」


「そうですか、信雄殿がですか、まぁ、計算外では有りますが良いでしょう。返事が来るまで最短で二年くらいでしょう。その後はどうなるかが勝負です。どうやら俺が知っている時代とは最早かけ離れてますから」


「と、言うと?」


「無敵と言われるスペイン艦隊がまだ存在するみたいですからね、おそらく我々の動きに警戒し、ヨーロッパの国々は近隣との争いを避けているのでは?と、思えます。戦力を失わないように」


「手を組んでいる可能性もあるのだな」


「そういう事になれば、大海上決戦になりますね。当家では鉄を増産し大砲の増産を命じては来てはおります」


「ぬかりなしか、まあ良い。常陸は儂をどうしようと考えているのだ?


「はい、世界の覇者になっていただき、秩序になっていただきたいと思ってます」


「秩序?」


「はい、政教分離を世界に広める覇者です。俺の時代は世界は宗教観対立で戦争を続けていましたからね。それをなくす為に、神々は敬う物であるが政治には関与させない、そういう秩序を構築したい」


俺が織田信長を高く評価しているのは政教分離の礎を作った男だからだ。

織田信長が比叡山焼き討ちをしなければ、比叡山の影響力は続いていた可能性はある。

他にも一向宗に容赦ない戦いをした。

織田信長は、比叡山を焼き討ちすることで、他の寺社が政治関与から一線をあけるようになった。


「なるほどな、神仏の名を借りて人が殺し合う行為は愚の骨頂だ。それをなくす為に儂に世界の覇者になれか?おもしろい、本当に常陸はおもしろい。よかろう、一度失いかけた命だ付き合ってやろう」


そう言いながら、世界地図を眺めていた。


俺は小船で自分の船に戻った。

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