第350話 真田幸村帰城

1592年12月30日

 

真田幸村が樺太から帰って来て帰城の挨拶に来た。


「樺太開発ご苦労様、今年はどうだった?」


「はい、蕎麦を中心にしながら小麦、じゃがいも、稗、粟の収穫が出来ました」


「それは良かった。で、トゥルックとオリオンは?」


「お健やかにお過ごしで御安心下さい。御大将は南に行かねばならなく、今年は来れないと伝えましたが、私たちのことは気にせず自らの運命にしたがって下さいと、トゥルックの方様の御母上様からの伝言に御座います。厚手がましいとは思いましたがトゥルックの方様の村は真田流築城術で城として着工いたしました」


「そうか、気遣いありがとう」


「それで、今年の運んだ食糧の礼にと、御大将お好みの美少女萌木彫りを大量に持ち帰りましたがいかが致しますか?」


大きな箱に体長約30センチ程の300体、80センチ程のが20体入っていた。


と、まさに平成のフィギュアのような美少女萌木彫り、


「ぬほっ、素晴らしい出来栄え、素晴らしい、よしこれは半分は輸出、半分はオーストラリアに持って行く、この大きなほうは仏師に頼んで金箔で装飾して一体は帝に、一体は関白様に、一体は信長様に、一体は信忠様に、一体は前田の利長殿に贈ろう、手配してくれ、あとは家の城に飾っておこう」


人にあげるのが勿体ないくらいの出来栄えの物だが、大事な樺太のアイヌ民の産業品、広く広めたい。


産業として発展すれば樺太も潤う。


「あっ、オーストラリアから持ってきたブラックオパールを目に入れられないかな?幸村、来年、樺太に行くときこれを持って行き、この美少女萌木彫りの目に埋め込めないか試して貰ってくれ」


オーストラリアから持ち帰っているブラックオパールを幸村に託す。


「はっ、かしこまりました」


「当分は夏は樺太通いになるだろうが頼むぞ。俺は豪州統制大将軍としてオーストラリア大陸に力を入れねばならぬ時だから、すまぬ。せめて冬はゆっくり休んでくれ」


「お気遣いありがとうございます」


幸村は父と兄のいる下野で年明けを希望したのでそれを許可した。


この美少女萌木彫りの良さをわかってくれるのは利長ぐらいかな?

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